上州屋新狭山店(埼玉県狭山市入間川4-3-19)と、カーボンロッド専門メーカーの(有)ウイスト(埼玉県日高市高萩2472-3)が7月7日、同県飯能市の入間川で「アユルアー体験教室」を共同開催した。愛好家が増加傾向のアユルアーだが、釣り方がよく分からないといった声に応えた。
新狭山店とウイスト社共催のアユルアー体験教室は、20人定員の先着順で6月23日午前11時に募集開始。体験教室への参加を両者はそれぞれのウエブで事前告知していたが、その日のうちの短時間で定員に達し、キャンセル待ちが続出するという盛況ぶりとなった。
アユの友釣り用品を一式揃えるには、高額な出費が必要であり、オトリアユの操作など釣果を得るための技術の習得も一朝一夕にはいかない。それが、友釣り専用竿と比べて安価なルアー竿とリール、ルアーなどの装備で、難しいとされるアユが釣れるアユルアー。キャンセル待ち希望者が続々と発生するという現象は、この釣法への関心の高さを改めて示すものとなった。
講師はウイスト社の袖山氏と冨柗氏。埼玉の入間川でアユルアーに挑戦!
当初、教室の会場については飯能市阿須(あず)にある阿須運動公園前の入間川だったが、釣り場の状況などから急遽変更。同公園から河川に沿って8.5㎞ほど上流の飯能市立飯能第二小学校近くの千歳橋前後での実施となった。
参加者受付は、千歳橋左岸側袂の民間有料駐車場(1台1000円)内に設営されたテント。受付では入間川を管轄する入間漁協の入漁券(アユルアーの日釣券は2000円。年券は8000円)が販売されたほか、参加賞としてウイスト社からオリジナルキャップとタオルなどが参加者20人にプレゼントされた。
会場が変更となったため、開会式は当初予定の午前9時を超過して開始。まず、上州屋新狭山店の小島英樹店長が「今日はウイスト社の袖山さん、冨柗(とみまつ)さん両名を講師にお招きしました。初心者の方、経験者の方等いらっしゃると思うので、教室はグループ分けして進めていきます」などと段取りを説明。
続いて、ウイスト社の半藤輝夫社長が「初めてのイベントなので、不慣れで至らないこともありますが、勉強ということで和気あいあいとやっていただければと思います」などと挨拶した。
講師は、ウイスト社アユルアーアドバイザーの袖山達典さん(チーフ)と冨柗寿行さんの2人。参加者を前に袖山さんは「これまでYouTube等で講習会を開催してきましたが、これだけの人数は初めて。皆さんが他の河川へ行った時に、良い釣果が得られるように基本的な部分から突っ込んだところまで技術をお伝えしたい」。
冨柗さんは「袖山さんはYouTube等で知名度があるが、私はあまりないので、教室で私に付いた方は大変申し訳ありません(笑)」などと自己紹介して、会場を沸かせた。
ユーモア発言で参加者の緊張をほぐした冨柗さんだが、実力は折り紙付き。実釣を前に渡渉の注意点や装備について解説した。河川内を対岸へ移動する際は、水深を十分に確認した上で、水勢を考慮して到達したい箇所の上流側から斜めに下るように歩くことが大事と指摘。釣行前の入漁券の購入も必須と呼びかけた。
千歳橋前後はアユルアーの好ポイント。来年は放流量の増加も検討
開会式には、ウイスト社のアユインストラクターで、入間漁協原市場支部長の遠藤秀明さんも姿をみせた。
会場を見渡しながら遠藤さんは「アユ釣りというと、私のようなシルバー軍団が主ですが、アユルアーをやる人たちはみんな若い」と新たな釣法で今後のアユ釣り界を担う大勢の釣り人の姿に目を細め、「今日の釣り場には30㎏しかアユを放流していませんが、来年は組合長と相談し、可能であればより多くのアユ放流したい」と次期釣り場づくりへの展望を語り、参加者の期待を高めた。
この千歳橋前後は、入間川におけるアユルアー認可エリア中、最良の釣り場として広くマニアに知られるところ。6月1日の解禁から連日のように愛好家が訪れ、動画等で情報発信していることもあり、河川規模こそ小さいものの、関東圏のアユルアー愛好家に好釣り場として認知されている。
まずは黒い石を見つけてステイが基本。ダメだったら次の石を狙おう!
開会式終了後、参加者は千歳橋を渡って右岸に移動し、袂から河原へ降り、複数のグループに分かれて袖山さん、冨柗さんの講師の下、実釣に臨んだ。
両講師とも、参加者の目の前で実際にルアーを投げてポイントでの操作方法を見せる等、デモンストレーションと質疑応答を行い、アユルアーの楽しさ、醍醐味を伝えた。
この中で、袖山さんは基本について「川に着いたら、まず黒い石を見つけてその上流に立ち、ルアーを黒い石の頭のところにステイさせてください。石の周りでルアーで待つこと」と強調。「ロッドを操作しながら同じポイントで5分でもいいから待ってみる。掛けたことがないと、5分が長いと思われるかも知れませんが、1尾掛ければコツが分かるので、2尾目からは自信待てると思います。アユルアーは、待つ時間が多い。そして、この石がダメだったら、次の石を狙うこと。石を狙ってステイさせ、どんどんポイントを移動していくのが大事」とした。
ただ、ステイさせるということについて言葉では簡単そうに聞こえるが、複雑な水中で同じポイントにルアーをずっと留めておくのは難易度が高そうだ。
参加者から「狙う層」について質問が及ぶと、袖山さんは「アユは必ず底にいるので、ボトムキープが大事ですが、警戒するアユもいるのでガツン、ガツンというようなボトムノックはあまりよくないです。ボトムキープはするが、リップを河床に当てるのではなく、張り付けるようにキープさせる。トゥイッチを入れてしまうと、河床にぶつかり変な動きをしてしまいます」と注意点を挙げながら解説した。
また、針の号数については、「釣行する河川の規模に応じて変えますが、基本は6.5号から7号」。使用するルアーのカラー選択については「僕は正直なところ、あまり関係ないと思っています。それよりも大事なのは、針の大きさです」と経験を基に持論を述べた。
ルアーにアタックしてくるアユはどんなアユ?
ルアーにアタックしてくるのはどのようなタイプのアユなのか。
袖山さんは、「アユには3種類パターンがあります」とし、「1つは放流直後の12~13㎝の小さいサイズの群れアユ。そして、追い星が付いたギンギンの縄張りアユで、これは1個の石に対して1尾が付いているアユ。そして、この2種類の間のアユがいますが、それこそがアユルアーでヒットする大半のアユです。群れアユから抜けているが、1個の石に対しての縄張りは持っていない。だけど、数尾で何個かの石をシェアし、スクールしていて、ルアーをキャストするとじゃれてアタックしてくる。そのアユを見極めるのが大事」と力説した。
会場変更により2時間という体験教室だったが、実力、実績とも申し分ない2人の講師の熱量のある指導に、実釣開始早々にアユをヒットさせる人が出るなど、参加者の今後に繋がる有意義な催しとなった。
アユルアーが出来る河川、新規客も増加中!今後に期待
以下、上州屋新狭山店・小島店長のコメント。
「近年、アユルアーのできる河川が増えてきて、今まで敷居の高かった友釣りがルアーで簡単に行えるということで、新規のお客さまが増え、毎日のようにアユルアーを始めたいという方がお店にいらっしゃいます。その中で、どうやって釣ったらいいのという方も多かった。
アユルアー体験教室は、日高市の地元のメーカー・ウイストさんの半藤社長に声をかけていただき、初心者の方々にもっと広めていきましょうと、共同して開催することにしました。半藤社長にすごく良くやっていただきました。これからも一緒に何かできたらいいなと思っています。ウイストさんのロッドを使いたいとお店にやってくるお客様も多い。半藤社長にご相談しなければなりませんが、体験教室はぜひ継続開催したいです」。
【小島満也】
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