違反したらどうなるの?
違反の疑いがある場合の調査は、国土交通省、海上保安庁及び警察が行う。違反した船長には遵守事項違反として、1度の違反に対し違反点数2点が付与され、再教育講習(座学)の受講が義務付けられる。
もし、違反点数が累積し行政処分基準に達した場合、最大6月(6カ月)の免許停止となる。免許停止となる期間は、過去1年以内の違反累積点数と過去3年以内の処分前歴の有無によって決められている。
3年以内に処分前歴が無い場合は、累積点数が5点以上になると免許停止になり、処分前歴がある場合は、3点以上になると免許停止になる。
違反した場合、後日、違反者に再教育講習を受けるべき旨の通知書が届き、通知を受けた日の翌日から起算して1月(1カ月)を超えることとなるまでの間に再教育講習を受けなければならない。
再教育講習を受けると、行政処分基準に達していない場合は累積点数から2点が減点され、行政処分基準に達している場合は処分が軽減される。
船釣りには桜マークのライフジャケットを!
船長が乗船者に着用させるライフジャケットは、「国の安全基準に適合したライフジャケット」でなくてはならない。
ライフジャケットには水中で浮き上がる力が7.5㎏以上あること、顔を水面上に維持できることなどの様々な安全基準が定められており、船舶の種類、航行区域によって求められる基準が異なっている。船舶種類や航行区域により、着用出来るライフジャケットが分類されている。
プレジャーボート、エンジン付きボートなどに対応したライフジャケットには、「桜マーク(型式承認試験及び検定への合格の印)」が貼付されている。
桜マークのライフジャケットは、国土交通省が、落水を模した飛び込みや浮上状態の確認などの「水上性能試験」、重りをぶら下げて生地や縫製に問題ないかを確認する「荷重試験」などを行い、安全基準への適合を確認したライフジャケットである。
桜マークのライフジャケットは、船舶種類や航行区域によって、タイプA、タイプD、タイプF、タイプGの4つに分類されている。
もし着用していたとしても、その船舶種類・航行区域において必要な安全基準を満たしていないライフジャケットだった場合、非着用と同様の処分となるため注意が必要である。
例えば、タイプAの着用が求められる船舶や航行区域で、タイプDのライフジャケットを着用していた場合は、非着用とみなされ、船長に違反点数が付与される。
よく船釣りをする釣り人は、タイプAのライフジャケットを着用していれば全ての船舶・航行区域に適応しているため安心出来る。
そのほか、磯等への渡船での着用に限り、「CSマーク」など桜マークではないライフジャケットの着用も認められている。しかし、一般的な船釣りにおいては、CSマークのライフジャケットを着用していると非着用と同様の扱いになるため注意が必要である。
また、着用しているライフジャケットのタイプが適正でも、適切な点検や整備などが行われておらず、安全基準を満たさない場合は非着用と同様の処分となる。
船長は、乗船者が使用しているライフジャケットの状態が良好であり、安全基準を満たしているか確認を行う必要がある。もし安全基準を満たさないライフジャケットを着用していた場合、違反点数が付与される。
「適用除外」や「努力義務」になる条件
ライフジャケットの着用義務には 船室内にいる場合や、防波堤に係留された船にいる場合、船長が定めた安全場所の範囲内にいる場合など、「適用除外」や「着用に努める義務」となるケースがある。
しかし、釣り等の船外への転落の恐れがある行為を行う場合は、「適用除外」や「着用に努める義務」となるケースが非常に少なく、防波堤に係留中の船舶に乗船している場合や船長が定めた安全な場所でも、釣りをする場合は「着用義務」となる。
つまり、小型船舶で釣りをする場合、命綱や安全ベルトなど、船外への転落を防ぐ措置が行われていない限り、船長は乗船者にライフジャケットを着用させる義務がある。