アトラスジャパン設立への想い。「時代を越えて発展し続ける会社やブランドに」DUO安達政弘社長が語る

スペシャル ニュース

ルアーメーカーとして知的財産の保護を強化。コピー品に対しては徹底した対応を取る

知的財産権の保護については、(株)コアマン(兵庫県神戸市本社・泉裕文代表)と業務提携して2年前から行っていました。今回、アトラスジャパンを設立した事に伴い、この知的財産権の保護を強化します。

ルアーメーカーが新しいオリジナルのルアーを作る際には莫大なコストが掛かります。製造に掛かる直接的なコストはもちろん、開発期間に掛かる様々な費用も含めると1000万円を超えてくる場合もあります。

DUOのタイドミノーランス
1つ1つのルアー開発には莫大なコストが掛かっている。安易にコピールアーを扱う事は、オリジナリティのあるルアーを開発するメーカーにダメージを与える事にも繋がっている(出典:DUOホームページより)

しかし、今はそうやって苦労を重ね、多額の費用をかけて作ったルアーが、「売れているから」という安易な理由で簡単にコピーされ、オリジナル品の半分の価格で販売されるケースもあります。

良心的なユーザーさんはオリジナルの商品を買って頂けますが、コピー品が出回る事で我々にとっては機会損失が必ず発生します。こうなると、オリジナリティのある商品を作っている日本のルアーメーカーの体力を奪う事になります。

販売店さんや流通の方にお願いしたいのは、そもそもコピー品を扱う事は違法ですし、安易な考え方でコピー品を扱わないで頂きたいのです。確実なコピー品を扱われる方はさすがに少なくなっていますが、グレーゾーンの商品についても同様です。こういったグレーゾーンのコピー品に対しても、今後当グループは徹底した対応を取っていきます。

知的財産権の裁判は多額の費用が掛かりますが、これはグループ各社が自社の商品が侵害されていなくとも皆で負担して対応していきます。戦う必要がある場合は、コストを度外視して戦います。こういった対応を繰り返す事で、知的財産権の侵害も減っていくと考えています。

この知的財産権の保護に関しては、我々の考え方に共感して一緒に取り組んで頂けるメーカーさんがおられましたら、いつでもお話をさせて頂きますので、ぜひご連絡下さい。

「支える巨人」アトラス。経営者の甘えを許さない仕組みを構築

DUOの安達政弘社長。アトラスジャパンの代表取締役でもある

アトラスジャパンについてですが、まず社名の由来となるアトラスは、ご存じの通りギリシア神話に出てくる神です。「支える巨人」という意味があり、子会社を支えるホールディングスですから持ち株会社の名前としても良いのでは、という事で決まりました。

役員構成ですが、我々の他に、社外取締役の設置を考えています。既に業界内外の有識者の方に、お声を掛けさせて頂いております。

今後、M&Aが多くなると思いますが、会社を拡大させていく予定です。そうなると、ますます多くの優秀な人材を確保しなければなりませんし、その方達に大いに活躍してもらう必要があります。そのためには、まず自分たちの襟を正す必要があると思うのです。社外取締役の設置はその一環でもあります。

そもそも、私は取締役とは24時間365日、会社の発展に尽くす義務があると考えています。仕事が十分に出来ていないにもかからず、例えば同族だから、株を持っているからという理由で役員を続けられては、従業員の士気が下がります。優秀な社員ほど、そういった事を見抜くものです。

アトラスジャパンでは、当然役員の任期があるのですが、再任を決める場合、本人の議決権はありません。本人を除く取締役会で再任が妥当か否かを決議します。つまり、私も他の役員から「必要ない」と言われれば、もちろん潔く退任します。「まだ会社にい続けて欲しい」と言われれば、働き続けるでしょう。

こういったある意味では緊張感のある仕組みがなければ、役員を志している若手に夢を与えられませんし、仕事が十分できていない役員に辞めてもらう事ができません。つまり、会社に在籍している限り、必至で働き続ける仕組みなのです。

社長の働きを判断する1つの基準として、自分が創業者である事や、株を所有しているからといった理由は関係なく、「今、自分が会社に雇われたら報酬はいくらが適切か?」を考えると良いと思います。もし、私が会社から雇われれば、今の報酬の倍以上は会社に要求します。それだけの仕事をしているという自負があるからです。会社を経営している以上は、会社が上場しているような気持ちで働き続ける覚悟が必要だと私は考えています。

グループで働くスタッフに報いるためにも成長続ける

アトラスジャパンの記者会見の様子。金森隆志社長、安達政弘社長、菊地栄一社長らが会見で想いを語っていた
3社とも様々な形でシナジー効果が得られる。そもそも経営者間の信頼関係がなければ不可能な経営統合だった

アトラスジャパンの設立は、私と金森社長の絶対の信頼関係がなければ出来ませんでした。お互い、持っている株を5割預ける形になるのですから、強い信頼関係がなければ成り立ちません。それでも新会社を設立したのは、先にも述べたように、会社を持続的に発展させていく必要があるからです。そうしなれば、当グループで働いている従業員にも報いる事ができません。

社長個人の能力には限界があります。ルアーメーカーであれば、売上高が3億円前後までなら1人の優れた経営者の手腕で達成できるかもしれませんが、10億円、20億円規模の会社になってくると、1人の経営者の能力だけで切り盛りしていくのは不可能です。必ず人に頼る必要が出てきます。

そうなると、優秀な人材をいかに確保出来るのか。会社にロイヤリティを持ってもらい、一生懸命働いてもらうにはどうすれば良いのかが問題になってきます。

こう考えていくと、会社を本気で伸ばそうとする経営者が持っている選択肢はそれほど多くはありません。従業員やテスターに、きちんと成果に見合った報酬をお支払いする事や、働きやすく、活躍しやすい環境を整えていく事以外に、経営者が出来る事は少ないのです。新会社でも、こういったルール作りをしっかりと行っていきます。

若い人が釣具業界で成功する土壌をもっと作っていきたい

最後に、釣具業界の課題でもあると思うのですが、釣り界を活性化させるためには、若い人が釣具業界で成功する土壌をもっと作っていく事が必要です。若い人の憧れの職業に「プロの釣り人」が入るような環境を作っていく事が必要です。若い人のなりたい職業で「ユーチューバー」の人気があるのも、成功して巨額の報酬を得られる人もいるからだと思います。

釣具業界でも、若い人から「自分もああなりたい」と思われる釣りのプロや有名人を増やせば、釣りに興味を持つ若い人が増えると思います。

そのためには、釣具業界で独立や起業する人を応援する風土作りがもっと必要です。独立や起業を行う人に対してネガティブな見方はやめるべきです。

有能な人の起業や移籍によって、新しいアイデアや商品が次々と生み出され、そこで競争が起こり、世界で通用する様々なアイデアが生まれて、更によい釣り具が出来ます。こういった良い釣り具を生み出す土壌が日本にはあるのです。当社でも微力ながら、釣り人を増やす事に今後も貢献していきたいと思っています。

(了)

関連記事 → 【スクープ】デュオ、レイドジャパン、ヴァルケインが新会社設立。アトラスジャパンホールディングス株式会社が誕生 | 釣具新聞 | 釣具業界の業界紙 | 公式ニュースサイト (tsurigu-np.jp)

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