【第17回】志賀高原・雑魚川に見る「種川」の生産力。原種イワナを守りながら、釣り人を満足させる漁場管理

スペシャル ニュース

今回は「種川の効果」について長野県水産試験場に取材を申し込んだところ、種川にて週1回ペースの新たな調査を行っていると聞き、現場を見たい思いで同行させてもらった。

今春から始まったこの調査は種川にトラップ(捕獲ネット)を仕掛けてイワナの稚魚などの下流方向への降下移動データを収集するものだ。まだその調査結果は出揃っていないが、稚魚だけでなく成魚やサンショウウオなども入っているという。今回は雨後ということで少し水位が高く、大量の落ち葉も入っていた。

サンショウウオ
トラップに入っていたサンショウウオ
イワナの稚魚
イワナの稚魚や成魚もトラップに入っている事がある

試験場のスタッフにイワナの資源量を左右する要因を聞くと、雑魚川でもまだまだ分かっていないことが多いという。

春の解禁が2カ月遅く、雪代が多いこと。エサの量が豊富なこと。水温が安定し、標高差が少ないこと。意外とこの周辺は豪雨が少ないことや、何も放流していないこともプラス要因として考えられているという。

豪雨の影響に関しては、令和元年の10月に東日本を襲った超大型の台風19号のダメージの大きさとその後の回復スピードの早さが興味深いデータとして残っている。この台風は千曲川水系でも堤防が決壊するほどの大規模な水害をもたらし、イワナの産卵期を直撃した。

その後の資源密度調査では全長20㎝を超える魚が10分の1にまで激減し、関係者を不安にさせた。ただ、翌年の令和2年には釣果も釣り人も約30―35%まで落ち込んだが、イワナの稚魚が残っていたため今年には資源回復が期待される。

地球温暖化の影響か全国的に豪雨が増えてきているだけに渓流魚への影響が心配だが、自然再生産する環境が整っていれば資源量はキープできそうだ。

これからの内水面漁場管理は成魚や稚魚放流への依存度が減り、いかに効率よく漁場管理していくかがカギになる。渓流王国・長野県の内水面漁業振興において、内水面水産試験場の調査研究は漁業関係者にとって頼もしい限りだ。

長野県の職員として水産試験場に勤務する環境部長の上島剛氏(左)と、渓流担当の技師・下山諒氏。上島氏は1971年生まれで、木曽試験地長を兼務する。下山氏は1996年生まれのテンカラ好き。お二人とも釣り愛好者で、試験場では20歳代の若手が中心となってテンカラ同好会を結成された。釣り好きの研究者が増えることは釣り界にとって大いに歓迎すべきことだ
雑魚川
スキーリゾートを水源に持つ雑魚川だが、渓畔林が生い茂り、野生イワナが再生産を繰り返す環境を維持している
雑魚川の禁漁区
雑魚川本流に設けられた天然産卵場(禁漁区)
雑魚川の看板
入川道の入口に漁区や遊漁規則をカンバンで掲示。川に沿って道路が走り、エントリーしやすい渓流だ

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