【海野徹也】魚に愛、自然に感謝、釣り人に幸。~クロダイの生態と放流~

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~警戒心が強い?~

クロダイは警戒心が強く、眼が良いという釣り人も多い。そのため、釣りの仕掛けも繊細だ。

しかし、小さな図形や文字を見分ける能力の目安となる視力は0・13くらいだ。私たちヒトの平均的な視力は1.0なので、クロダイの視力は相当に悪いことになる。

また、クロダイの視力はメジナ、メバル、マダイなど、ほとんどの魚と同じだ。クロダイの眼は特別に良いわけでもなく、魚の中でも普通(並)レベルの視力ということになる。

クロダイの網膜。錐体細胞の密度から視力が推定できる

クロダイは警戒心が強いと信じられている理由は、その生息域が関係するだろう。まず、クロダイ釣りでは竿やウキに出るアタリは小さいと言われる。

先にも説明したが、クロダイは潮間帯の生物を好んで摂餌するため、基本的に遊泳水深は浅い。クロダイは、浅い潮間帯に侵入する際は、遊泳と定位をくり返し、時には発達した胸びれを駆使し、定位したまま付着性生物を摂餌する。

クロダイが釣り餌の摂食時に得意とする定位行動をすれば、アタリは出にくいか、もしくは小さくなるだろう。

クロダイが生息している内海にはクロダイを捕食するような大型肉食魚はいない。

クロダイにとって唯一危険なのは鳥類で、特に、浅場が広がる河口干潟はクロダイにとって危険ゾーンで、猛禽類の餌食になることが多い。そのため、クロダイは生き抜くために上空で動くものを「危険なもの」と認識している。

釣り場で、釣り人や釣り竿が動けば、それだけでクロダイは脅え、警戒する。

ちなみに、クロダイの黒い体色は、濁った内海の海水や河口干潟の低質色に馴染み、保護色としての機能しているのだ。

クロダイの落とし込み釣りでは、逆光時のように自分の影が映り込まない状況の方が有利だ。また、筏のカセやウキ釣りでは、人や釣り竿の影が影響しない水深までクロダイをコマセで誘導して釣っている。実に合理的である。

~「年無(としなし)」の年齢~

クロダイは全国各地に生息するが、成長速度は海域によって異なる。特に、冬期の水温が高い四国南部や九州西部の成長速度は、瀬戸内海のものより速く、大型化する可能性が高い。また、概してオスとメスの成長を比べると、メスの方が大型化する傾向がある。

釣り人にとって50㎝を尾超える大型のクロダイは1つの目標であり、「年無(としなし)」と呼ばれている。

クロダイの耳石。頭部の内耳に埋没している

50㎝を超える大型クロダイを集め、耳石を用いて年齢査定を行ったところ、平均的な年齢は17歳前後が多かった。最高齢は四国宇和海の57㎝のクロダイで31歳だった。

ただし、50㎝を超える個体でも年齢10歳くらいの個体もいれば、40㎝級のクロダイでも20歳を超える個体もいる。魚体の大きさと年齢には個体差があり、高齢魚が大型個体とは限らないようだ。

耳石断面にあらわれた年輪で推定年齢は20歳

私たちが調べた大型クロダイの年齢は、運悪く漁獲された健康な個体である。

自然界におけるクロダイの寿命と死因については、依然、不明である。

【了】

関連記事 → 「年なしのチヌ」って本当は何歳?クロダイ(チヌ)の全ての解明を目指す、広島大学の海野徹也教授を取材 | 釣具新聞 (tsurigu-np.jp)

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