「脱・アユ」の宇陀川漁協と室生川漁協。ワカサギの漁業権申請とバス釣り人の受け入れを開始
関西ではもう一つ、奈良県宇陀市にある室生(むろう)ダムが今年からバス釣り人を受け入れるようになった。
このダムは宇陀川漁協と室生川漁協の2漁協の管轄内にある。室生川は以前にアユの漁業権を放棄し、現在は春の解禁当初だけ楽しめるアマゴ釣り場を細々と管理している。宇陀川はこれまでアユ釣り場を管理してきたが、赤字が膨らみ今シーズンからアユの放流を断念した。
ダムのヘラブナに関しては両漁協ともに関心がなく、ヘラブナ釣り愛好者の男性一人に管理を委託している。その漁協管理人である平崎大介氏はイベントなどの収益や釣り人からの寄付、(公財)日本釣振興会からの放流援助もあって、切り詰めた予算内でヘラブナ釣り場を管理してきた。
ただ、ヘラブナ釣り人は高齢化が著しく、将来の展望を描けない。「もっと多くの釣り人にこのダム湖を利用してもらおう」と着目したのがブラックバスとワカサギの活用だった。
アユの放流を取り止めたタイミングで2011年からテスト放流してきたワカサギが順調に自然繁殖するようになり、奈良県へワカサギの漁業権免許を申請した。
バス釣りは漁協と釣り人のトラブルで長年禁止となっていたが、マナーのいいバス釣り人からの要望もあって今年から解禁となった。
2020年8月23日(日)にはJBトップ50シリーズで活躍する三原直之プロをゲストに招き、オープニングイベント「室生ダムBASSオープン」が開催された。また、2020年11月22日(日)には「室生ダムわかさぎオープン」を予定している。
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放流に頼るアユ釣り場が黄色信号
アユ釣り場全体が不振というわけではないが、天然遡上アユを活用できない放流主体のアユ釣り場はほとんどが赤字運営だ。宇陀川(うだがわ)や室生川のように「脱アユ」に踏み切らざるを得ない釣り場はこの先まだまだ増えると予想されている。
その代替事業は渓流のルアー・フライエリアの増設や、ワカサギ釣りなどが有力候補だが、内水面漁業への貢献度、釣り具のマーケットから見ればバス釣りも見逃せない存在だ。
厄介者(特定外来種)と優等生(高収益魚)の2つのレッテルを貼られたゲームフィッシュ。ブラックバスがニジマスのように産業管理外来種として扱われる日はくるのだろうか。
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