今年3月に北九州市で開催された西日本釣り博2025のオープニングセレモニーにも登壇していた下野六太参議院議員を取材した。下野議員は「釣りは単なる遊びではない。もっと社会的に有用で、様々な良い効果を人生にもたらすもので、誰もが胸を張って釣りに行ける社会を作らなければならない」と力強く語っていた。

公益財団法人日本釣振興会では昨年より、ひきこもりの予防や解消、また生きづらさを抱えて生きている人の支援を行うため、釣り体験教室を開始した。全国4カ所で実施されたが、この事業のキッカケとなったのは、公明党の下野六太議員が、日本釣振興会の髙宮俊諦最高顧問に相談した事だ。
下野六太議員は、国会議員になる以前は教育者として約30年間、中学校で勤務してきた。その経験から不登校児の支援等にも積極的に取り組んでいる。その中で、ひきこもりの予防や社会復帰には、「釣り」が非常に有効である事を以前から述べてきた。
ひきこもり解消の支援や生きづらさを抱える人を応援する日釣振の事業について、3月6日の予算員会では、下野六太議員の質問に対し、石破茂総理大臣も日本釣振興会の活動を称賛し、「賛同頂ける方も多いと思う。国として支援できるところはしていきたい」と回答。この事は釣り界でも大きな話題となった。
このような活動を行っている公明党の下野六太議員に、西日本釣り博の初日である3月15日、下野議員と日本釣振興会の髙宮俊諦最高顧問、常見英彦会長、牧野良彦常任理事、日本釣用品工業会の大村一仁会長との懇談会が設けられ、取材を行った(以下、下野議員の話を編集部要約)。
釣りは色々な意味で人生にプラスの効果をもたらす
釣りにはメンタルヘルスに関する力があるという事も、社会の中ではまだまだ認知されていません。こういった現状を変えていかなければなりません。ですから、ありとあらゆる場で、釣りは単なる遊びでもレジャーではなく、色々な意味で人生にプラスの効果もたらす事をアピールしていく必要があります。
釣りを趣味とする人が増えたなら、ひきこもりの予防にもなります。昨年1月に、髙宮最高顧問にお会いした時に「青少年の健全育成、生きづらさを抱えておられる方々を、釣りを通じて助けて欲しい」とお願いしたところ、日釣振さんはすぐに動いてくれました。

実際に釣り体験教室を行って頂き、児童養護施設や不遇な人生を送っておられる方に釣りをして頂く事で、私も予想していた以上に、前向きな喜びや感動を味わってもらう事が出来ました。
10月には東京でも、共同生活をしている人にニジマス釣りを体験して頂き、常見英彦会長にもおいで頂きました。もともと、引きこもりの方は感情があまり表に出て来なくなっている方も多いのですが、とても喜んで頂きました。こういった話を聞いて「今年、うちでもぜひお願いしたい」という施設も出てきています。

石破総理からも答弁を頂いて、日本釣振興会が青少年の健全育成、生きづらさを抱えている方々を、釣りを通して支援するという流れができました。社会の中で、釣りの価値、社会的地位向上をさらに加速させていきたいと思っています。
去年は、ボランティアで日釣振に動いて頂いていましたが、予算をとって持続可能な形にしていくのも私たちの仕事だと考えています。
青少年の健全育成、いきづらさを抱えている人への支援は、政治でしっかり主導してやっていきますが、その際にも日釣振に力を借りなければ出来ません。今後もご協力頂きながら、しっかりやっていきたいと思います。
今の社会は、冷たい社会と言えば言い過ぎだと思います。でも温かいとも言えない。温かい社会を目指していく中に、釣りが大きなカギを握っていると思います。
髙宮最高顧問から、温かい社会実現のためにも、身近に釣りが出来る漁港等が禁止になって困っているというお話を伺っています。ひきこもりや生きづらさを抱えた人の支援と、この話も合わせて取り組んでいきたいと思います。
西日本釣り博のオープニングでもお話させて頂きましたが、今まで釣りは社会の中で、単なる遊びでありレジャーでした。釣りをするぐらいだったら勉強しろ、仕事しろ、と言われる感じの位置付けです。

しかし、そうではなく、釣りは文化的にもメンタルヘルス的にも多くの価値があり、様々な良い効果を人生にもたらすものです。誰もが胸を張って、どこでも釣りに行ける。釣りは良い事だから、どんどん行ってらっしゃいと回りの人からも言われる。そういう社会を作っていかなければなりません。それが、私も目指している明るい社会、温かい社会にも繋がってくると思います。
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