9月10日、東京湾遊漁船業協同組合と公益財団法人日本釣振興会東京都支部によるカサゴの稚魚放流が実施された。
スタッフは早朝より集合場所である大田区の船宿「まる八」桟橋に集まり、東京湾遊漁船業協同組合の中山賢理事長をはじめ組合関係のメンバーが稚魚の運搬とタグ打ち、稚魚を展示するための水槽の準備を進めていた。
中山理事長に最近の状況を聞いたところ「アジとタチウオ、それにフグの釣果が良好だが、温暖化の影響か、昔とは釣れる魚の種類が変わってきている」ということだった。
この日放流したカサゴは愛知県産の6~8㎝の稚魚で3万尾。そのうち1割の3000尾にタグが打たれた。
総合学習として中学生も参加。カサゴの生態について学ぶ
8時40分頃になると、総合学習の一環として放流に参加する大田区立大森第一中学校の先生と生徒58名が渡邉瑛二校長先生に引率され到着した。広場に集まると、神谷丸の神谷船長より放流の簡単な流れと、生徒が乗船する4隻のスタッフの紹介が行われた。
続いて、日本釣振興会東京都支部の櫻井支部長より、暑い中来て頂いた事に対しての御礼、日釣振の取り組みなどについて簡単な説明が行われた。
また、生徒に「釣りをしたことはありますか?」と尋ねたところ2割ほどの挙手があり、さらに船釣りの経験を尋ねたところ1名から挙手があり、ほとんどの生徒達は釣り船に乗船するのが初めてであることが伺えた。
支部長の挨拶が終わると、生徒は①カサゴの観察、②タグ打ちの観察、③水槽に展示されたカサゴを見ながらカサゴについての説明の3つのグループに分かれてローテーションし、カサゴについて学んだ。
生きている魚を間近に見る事や、海水で濡らした手のひらに載せた状態で観察する事は生徒達にとってはとても新鮮だったようで、興味深く見入っていた。
その後、稚魚の運搬を行った。ライフジャケットを装着した生徒達はトラックから船着き場にかけて2列になり、バケツに入れられた稚魚を手際よくリレーし、積み込みを完了。4隻の釣り船に分乗し、9時半に出船となった。
いよいよ放流開始。3万尾のカサゴが大海原へ…
出船後、桟橋から羽田沖までは約10分の航行で、時折羽田空港を発着する旅客機をバックに、いよいよ放流を開始。
合図と共にバケツに分けられたカサゴの稚魚は無事海面へと放たれ、生徒達を乗せた船は桟橋へと戻っていった。
日本釣振興会のスタッフは、そこから若洲沖へと15分ほどかけて移動。この場所は若洲海浜公園のすぐ沖側で、平日ではあったが多くの釣り人が岸壁から竿を出していた。放流船は岸壁から50mほど沖に停泊し、放流を開始。
放たれた稚魚が大きく逞しく育ち、また、より多くの子孫を残してくれることを念願しつつ、今年の東京湾稚魚放流は終了となった。
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