公益財団法人日本釣振興会九州地区支部では、8月21日、福岡県の脇田海釣桟橋及び、児童養護施設「報恩母の家」にて釣り体験教室を実施した。
この活動は、日本釣振興会に対して、参議院の下野六太議員より「釣りを通した野外体験が青少年の健全育成等に非常に大きな効果をもたらす。ぜひ児童養護施設等の子供達の釣り体験教室に協力頂けないか」という話があり、まずは福岡、北海道、東京、埼玉等で実施される事となった。
釣りに挑戦。小アジ、スズメダイ、サヨリが釣れ、笑顔弾ける子供達!
当日は6時にスタッフが集合し、サビキ釣りの準備を行う中、生徒11名が脇田海釣桟橋に集合した。
生徒達は様々な事情で「母の家」にて集団生活を行いながら学校に通っており、今回の釣り体験教室は、夏休みの大きなイベントの1つとして非常に楽しみにしていた様子だった。
今回の釣り教室では、今年の酷暑により海面の水温が30℃近くとアジの適温から大きく離れ、前日までアジが1尾も釣れない日もあるとの話もあり、非常に釣果が心配された中での開催であった。
そのような中、桟橋で生徒達と釣りを始めると、当初の心配とは打って変わって、小アジやスズメダイ、サヨリなどが次々と竿を曲げ、最初は緊張していた子供達も一斉に笑顔になっていった。また、サビキに40㎝近いバリ(アイゴ)が掛かり、見事に釣り上げられ釣果に華を添えていた。
釣りの後は海難訓練。捌き方教室で食育体験も
釣り終了後には、港で海難防止訓練を実施した。落水時の心構えや背浮き等について説明し、日本釣振興会のスタッフが実際に海に飛び込み、万が一落水した際の対応等について解説。子供達も真剣に話に聞き入っていた。
その後は捌き方教室と食育体験を実施。生徒達は、日本釣振興会のスタッフや母の家のスタッフのサポートを受けながら、釣り上げられた釣果を捌いていった。最後にはアジフライを作ってみるなど食育体験まで行い、非常に有意義な釣り体験教室となった。
施設スタッフからの声
・釣り体験教室から捌き方体験、食育など、最後まで全面的にサポート頂いたことへ感謝したい
・子供達の釣りを楽しんでいる姿は、普段よりとても明るく元気だった
・魚を釣ったり触れたりする機会が少なく、子供達にとって貴重な体験だったと思う
・海難訓練では子供達が非常に興味深く話を聞いていた。自分の命を守る為の大きな経験になったと思う
・施設の食事は学校給食と同じで、生モノが出せない。今回は事業の一環として、釣り上げた魚のから揚げや刺し身などを食べてもらい、命の大切さについても学んでもらえたのではないかと思う
・今回の事業はとても素晴らしく、子供達、そしてスタッフにとっても非常に学びが多かった。来年も是非協力してほしい
参加した子ども達の声
・釣りは初めてだったが、たくさん釣れて嬉しかった
・自分で釣った魚を食べて、命の大切さを学ぶことができた
・自分で捌くことは難しかったが、挑戦してみてなんとかできた
・新鮮な刺し身がとても美味しかった
・海難訓練を初めて見たが、とても勉強になった
・これからも色々な釣りをしてみたい
子供達に釣りの楽しさや命の尊さを学べる場を
今回の参加者は、それぞれ色々な理由で親元を離れ、児童養護施設で集団生活を行いながら学校に通っている。集合時は少し緊張気味であったように見受けられ、また、釣りを1回も経験した事がない子も多かった。
ただ、非常に暑い中ではあったが、釣りや釣れた魚を直接触れることによって、釣りの楽しさや生き物や命の営みを学ぶ事ができたと思われる。また、海難訓練や捌き方教室、そして食育体験までを通して行ったため、自身で釣った魚を自ら捌いて食すという、食の体験はとても貴重な経験となったはずだ。
日本釣振興会では、今後もこのような事業を継続することによって、子供達の健全な育成、そして釣りの楽しさや命の尊さを学んでもらい、釣りの振興につなげていく。
【提供:日本釣振興会九州地区支部・編集:釣具新聞】