釣り中の事故に気を付けて!事故の6割以上は海中転落。ベテランは慣れからの注意不足に用心【九州リポート福岡発!】

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「九州リポート福岡発!」は、全九州釣ライター協会の会長・小野山康彦氏の連載です。公益財団法人日本釣振興会九州地区支部の活動ほか、九州の様々な情報を紹介します

九州リポート福岡発!のカット
     

第24回の今回は、北九州市門司区の第七管区海上保安本部(以下、「七管」と記載)管轄の大分市・大分海上保安部交通課に設置された「大分海釣り事故防止対策チーム」(以下「対策チーム」と記載)が、今年3月に発表した長年のデータ収集による釣り関連事故の分析データの一部(重要部分)をご紹介します。

七管は九州地方の福岡県、佐賀県、長崎県、大分県と、山口県西方を管轄しています。その中でも大分県は九州東海岸の代表的な釣り場として認知度が高く、多くのメーカーの釣り大会が開催されるほか日常的なフィールドとして県内外の人々から親しまれています。

対策チームは、2001~2023年の長きにわたって大分県内3カ所(大分・津久見・佐伯)を調査。「大分」は県北県境部から別府湾に至る海岸線、「津久見」は津久見湾、臼杵湾に至る海岸線、「佐伯」は佐伯湾から県南県境部に至る海岸線のエリアです。

期間中における釣り中の事故者は172人(大分72人、津久見31人、佐伯69人)で、最も多い事故の種類は海中転落の107人。そのうち死亡・行方不明者は73人(大分25人、津久見14人、佐伯34人)でした。

172人の事故の発生場所は磯場の64人が最も多く、岸壁は34人、防波堤は31人、甲板上が29人、消波ブロックの8人、その他6人と続きます。また107人の海中転落の釣り歴は10年以上のベテランが約5割です。年齢別では60歳代が最多で60歳以上が占める死亡・行方不明者は全体の約7割に及びます。

岸壁の一例
岸壁の一例。足場の良い場所でも注意が必要だ

磯場の事故のトップエリアは磯場の多い「佐伯」ですが、岸壁、防波堤、甲板上、消波ブロックではすべて「大分」が上位を占めました。このことから、足場の良し悪しにかかわらず海中転落事故はどこでも発生していることが明確になりました。

磯場の一例
磯場の一例。足場が悪い場所ではもちろん、足場が良い場所でも海中転落事故の危険性がある

釣り中の事故、どんな対策をしていますか?

昨年末、対策チームは各釣りスポットに赴き、独自に作成した安全啓発カード「無事にカイロ」と携帯カイロを数百人の釣り人に配布してヒアリングを行いました。

無事にカイロの表面
大分海上保安部が独自に作成した安全啓発カード「無事にカイロ」の表面。釣り場で配布すると共に、釣り中の事故に関するヒアリングも行われた
無事にカイロの裏面
「無事にカイロ」の裏面

その中で「事故や危険な目にあったことはない」と答えた人たちは、常に次のようなリスク管理を心掛けていました。① 危険な場所には近づかない、② 安全な服装、装備を整える、③ 体力、年齢に合った釣り場を選ぶ、④ 無理をせずしっかりとした計画を持って臨む、等々。

一方、服装や装備が万全でない人たちは、「事故防止の心掛けは特にない」と回答するケースが多かったと報告しています。

対策チームの川部直人交通課長は、「釣りは気象・海象といった自然現象を相手にしている『リスク』と、危険軽視の慣れや不注意から『ヒューマンエラー』が発生することを十分理解する必要があります。釣りを安全に楽しむためにリスク管理を徹底し、過去に経験した『ミス』や『ヒヤリハット』を整理して事故防止を心掛けてください」と注意喚起しています。

これらの貴重なデータは、釣りに出かける機会が増えるこれからの季節、初心者はもとよりベテランにも基本的な自己防衛対策を徹底して釣りに臨むことを教えてくれる指針となっています。

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