組織をシンプルに、お金もかけない。釣り好きが始めた「潮岬オフショアトーナメント」
カジキなどを狙うビッグゲームからわずかに遅れてキャスティングやジギングなどのオフショアゲームに火がついた。
この頃立ち上げたのが「潮岬オフショアトーナメント」。串本在住や串本に良く来られていたアングラーを募って実行委員会を結成し、1996年に第1回大会を開催した。
この大会は、釣り好きが集まって作った実行委員会で主催し、スポンサーは各メーカーさんのご厚意によって大会賞品を協賛頂き運営するというスタイルを初回から通しており、運営資金的なものは全て参加者からの参加費のみで賄うスタイルを守っている。
参加費からは、当日の乗船料、昼食、保険、スタッフの弁当等を全て支出するので、会場の装飾やゲストの出演料などに回すお金がない。という事で、当大会の会場の装飾らしい装飾は横断幕1枚。それもすでに30年近く破れたところを補修しながら使い続けている。
釣り大会は本来華やいだイベントである。参加者にとってもワクワクドキドキさせるような仕掛けがある方が楽しい。自治体や各種団体が沢山参加して、それこそ町を挙げて華やかにやった方が地域活性化には当然いい。地域経済にとっても貢献するだろう。
ただ一方で、多くの団体が参加して演出を派手にやればやるほど当然経費はかさみ、運営にあたっても意見百出、意見や立場の相違で運営に行き詰まるリスクが増加する。実際に華々しく第1回を開催したが、後々続かなくなって、残念ながら消えてしまった大会も少なくない。
この大会が細々とではあるが、30年近い歴史を積み重ねてこられたのは、組織をシンプルに、さらにお金をかけないというスタイルを通してきたからに他ならない。
また、賞品をスポンサードして頂いている各メーカー、個人の方々なしには絶対に続かなかった。スポンサーの方々はじめ、後援して頂いている串本町、漁協等関係者の皆様には本当に感謝してもしきれない。
「継続は力なり」という言葉がある。何事も初めて興す事よりも、続ける事の方がはるかにパワーがいる。その点で一番問題となって来るのは、世代交代についてである。
この大会もそうだが、少子高齢化に伴って若い世代自身が年々減っており、それに比例して次世代の釣り人が減っている。
当然、運営スタッフの高齢化に伴って、次の世代に引き継げるかが問題となってきている。特に当大会の様に釣り好きの有志で構成されているような資金力のない釣り大会は、臨機応変に動けるメリットはあるが、資金的な面で行き詰まる可能性は常にある。昨今の様に物価高が直撃しているような状況だとなおさらである。