【日本釣振興会50周年】第一部・記念式典。麻生太郎名誉会長挨拶、水産庁長官、国土交通省港湾局長らが祝辞

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公益財団法人日本釣振興会創立50周年記念式典は6月14日午後3時15分より、帝国ホテル東京の孔雀西の間で開催された。冒頭、開会の辞を橋本俊哉副会長が述べた後、創立50周年記念動画の放映が行われた。動画では日本釣振興会の設立背景や経緯、これまので活動や現在の取り組み等が紹介された。来賓紹介、物故会員黙祷に続き髙宮俊諦会長の挨拶、来賓の祝辞、功労者表彰式、寄付金贈呈が行われた。(編集部注:記事中の役職等は全て式典当日のものです)

日本釣振興会創立50周年記念式典の様子
帝国ホテル東京孔雀西の間で開かれた記念式典には207名が参加。日釣振関係者はもちろん、大勢の釣魚議員連盟(国会議員)、行政、釣り関係者などが出席し会の節目を祝った

日本釣振興会・髙宮俊諦会長の挨拶。日釣振設立の経緯や歴史を振り返る

日本釣振興会の髙宮俊諦会長
挨拶する髙宮俊諦会長。日釣振の歴史なども紹介された

本日は日釣振の創立50周年記念式典にお集まりいただき、会を代表して衷心より御礼申し上げます。記念行事がコロナの影響で3回の延期を余儀なくされ、4回目の今日、ようやく開催出来ましたこと、皆さまにご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。

さて、日本釣振興会が財団法人として認可され設立をしたのは昭和45年9月です。当時、我が国は高度経済成長の真っただ中で、レジャー人口が着実に拡大していました。同時に釣りも日本古来の娯楽として、道具の進化等に伴い1500万人の人口を誇る、国民的レジャーとして成長していました。一方で大量生産、大量消費、様々な公害や水質汚濁により自然環境の悪化が深刻になっていました。加えて地球環境の変化や乱獲による魚族資源の減少も大きな問題でした。

そのような中、釣り人の増加により漁業者とのトラブル解消や釣り人のマナー向上、ルールの確立、子供からお年寄りまで安心して釣りを楽しめる釣り場の確保など、釣りを対象とした行政窓口の創設などが、釣り界の中でも真剣に協議されるようになりました。

このような背景の中、昭和41年、全日本釣具卸組合が結成され、2年後には釣り界の多くの課題を解決するため釣りの先進国である米国の釣り事情の視察が行われました。その翌年には、全日本釣具卸組合が中心となり、日釣振設立準備委員会が作られ、昭和45年9月に文部省、農林省、厚生省の管轄のもと、念願の財団法人日本釣振興会が設立されました。

日本釣振興会創立50周年記念式典の様子
当時の釣り界が一致団結して日本釣振興会を設立した様子を語る髙宮俊諦会長。釣りの社会的な地位も当時から比べて格段に向上した

設立後、50年余りの歴史で様々な紆余曲折がありましたが、釣魚議員連盟、水産庁、国交省など関係省庁のご指導、ご支援もあり現在では釣りの裾野は大きく広がり、釣りの社会的地位も格段に向上したのではないかと思います。中でも麻生太郎名誉会長には30年以上の長きにわたり、釣り振興に貴重なご協力、ご助言を賜り、厚く御礼申し上げます。

日本釣振興会の礎を築いて頂いたのは白紙の状態から多大なご尽力を頂いた、多くの釣り界の諸先輩方のおかげです。加えて、設立されるまでの間は全日本釣具卸組合が中心となり、製造、小売り、釣り団体、報道を加え、学識経験者、政治、行政の方等に一方ならぬご支援を賜りました。心温まるご協力により、釣り界がまさに一体となって、ゼロからの出発で釣り界の長年の夢であった法人格を持った財団法人が設立出来た事は、関係者にとっても何よりの喜びでした。

本日も全国各地から日釣振県支部長、製造、流通業、釣り団体の方にお集まりいただいていますが、釣り界の輪、結束力が強く感じられるのではないでしょうか。改めて設立に携われた先達の熱意と、その後の事業活動に協力して頂いた多くの皆様に深甚なる敬意と感謝を申し上げます。

当振興会は設立後、4つの目的を掲げました。1つは稚魚放流など魚族資源の保護増殖、2つ目は水辺環境の美化保全、3つめは釣り人のマナー・モラルの向上と安全対策、4つ目は健全な釣り文化の普及振興と安心して釣りが楽しめる釣り場の確保でございます。これらの事業を50年余にわたり地道に活動を行ってきました。

そして、現在では全国の都道府県に当振興会の県支部、地区支部が設立され、一丸となった取り組みを行っています。

35年前、一時的に危機的な状況となった財政も、その後の皆様のご協力のおかげで、会費収入なども順調に推移しており、基本財産も1、2年後には目標金額に到達すると思われます。また国交省港湾局と日釣振の共同事業として取り組んでいる「釣り文化振興モデル港事業」や、水産庁との「漁港のフル活用事業」においても、釣り振興だけでなく、地域の活性化のためにも少なからず寄与出来ると存じます。

平成12年には日本釣用品工業会と連携、協力して念願の日本フィッシング会館が完成し、約10年前には日釣工・日釣振の協働事業でスタートしたつり環境ビジョン事業も、釣り界発展のため、着実に成果が出ています。

これからも、釣りのモラルや安全を守ると同時に、青少年の健全育成など釣りの社会的意義やその楽しさを多くの人々に伝えて参る所存です。

最後に本日お集まりの釣魚議員連盟や国土交通省、水産庁など行政の皆様、そして日本釣用品工業会はじめ釣り界関係者の皆様には、今後日釣振への更なるご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げて、挨拶とさせて頂きます。

麻生太郎名誉会長(日本釣振興会名誉会長・釣魚議員連盟会長)挨拶。「日本は多くの人に釣りを普及出来る環境がある」

日本釣振興会名誉会長の麻生太郎氏
日本釣振興会名誉会長の麻生太郎氏

本日は日本釣振興会創立50周年の式典にご参加頂き、お祝いを頂き、元会長としても厚く御礼申し上げます。

私もこの会ではいろいろな事をさせて頂きました。先ほど動画でも流れていましたが、外来魚問題も大騒ぎでした。皇居のお濠も報道と随分違い、ブラックバスはほとんどいませんでした。またSOLAS条約もそうですが、釣りが出来る場所を確保する必要があります。安全に楽しめる釣り場を確保するのは大事な事です。

私自身も体験しないと分からないという事で、河口湖にブラックバス釣りにも行きましたし、東京湾にキス釣りにも行きました。つくづく思ったのは、釣りをスポーツとするなら、スポーツ人口で最も多いのは釣りだと思います。老若男女が楽しまれています。ルアーも普及し、釣りが簡単になりましたし、ファッショナブルになっています。幅広い層が幅広い楽しみ方をされています。さらに、これほど3密にならないスポーツはありません。

また、日本の釣り道具は、その多くにおいてクオリティの高さは世界一だと思います。四方が海に囲まれた我が国では、釣りをより多くの人に普及できる環境があると確信しております。

釣りは健康にも良く、家族の団らんなどいろいろな形で意義があります。釣りという趣味を通してより多くの方に、より多くの良さを理解してもらい、日本の釣り振興を通じて、我が国の発展に貢献していきたいと思います。今後もお力添えをお願い申し上げます。

神谷崇水産庁長官から祝辞。日釣振と連携しながら漁港の利活用進める

水産庁長官の神谷崇
水産庁長官の神谷崇氏。漁港のフル活用等の話も行われた

昭和45年の設立から稚魚放流、清掃活動、釣り場の拡大、釣り人のマナー向上のためご尽力されている事に、この場をお借りして深く感謝と敬意を表します。

本年3月に閣議決定された水産基本計画の中では資源管理の項目の中で、遊漁の管理が大きく取り上げられました。資源管理の高度化に際し、遊漁と漁業の一貫性のある管理を目指す事が示されました。また遊漁の活用として漁場利用調整に支障のない範囲で、水産業との関連の1つとして遊漁を位置付けるとされました。遊漁を振興するという施策の方向性について、今回明確に位置付けられたところでございます。

新型コロナで密にならない野外のレジャーとして、釣り人口が増加していると聞きます。ただ、釣り人のマナー問題が発生しており、釣り場である漁港が釣り禁止となってしまう事が懸念されています。

水産庁としても、本年3月に閣議決定された漁港漁場整備長期計画において、海業により漁村の活性化のため、漁港の利活用を促進する事としており、受け入れ環境の整備やマナー向上など日釣振とも連携しながら行っていきます。

最後に少し脱線をお許し頂きたいのですが、先ほどの記念動画を興味深く見せて頂きました。その中で2004年に初代釣人専門・櫻井政和就任とありました。現在、当人がここにおります。彼は生粋の釣り人であります。水産庁の施策で分からない事があれば、彼にも遠慮なく聞いて下さい。貴振興会のますますの発展を祈念致します。

浅輪宇充国土交通省港湾局長からの祝辞。釣り文化振興モデル港の協力に感謝

国土交通省港湾局長の浅輪宇充氏
国土交通省港湾局長の浅輪宇充氏

釣り文化の普及を通じて水辺環境の美化保全、健全な釣りの啓蒙活動などに積極的に取り組み、地域振興のために多大な貢献をされました。長年にわたり釣り文化の振興にご尽力されました皆様の熱意と努力に深く敬意を表します。

国交省港湾局では防波堤等を釣り施設として開放する事を検討する際の留意事項、検討内容、手続きなどを定めたガイドラインを策定し、皆様方と共に港湾内の釣り施設の開放に取り組んできま

また、地方創生を目的とする釣り文化振興が進められている港湾を「釣り文化振興モデル港」として、これまで16港指定させて頂き、皆さまと共に地域の取り組みに関する技術的な支援を行っています。5月に私も秋田港北防波堤に伺いました。防波堤では多くの釣り人がライフジャケットを着用し、釣りを楽しんでおられました。港湾施設の利活用をしてもらっているとともに、港町の振興にもご尽力して頂いている事に改めて感謝申し上げます。

皆様方より多大なご協力を賜りながら、こうした取り組みを通じて、国民の海や港への理解が醸成されていることに、この場を借りて熱く御礼申し上げます。日釣振創立50周年を1つの節目とし、地域における釣り文化の振興と、地域の発展に大きな役割を果たしていくことを心よりご祈念致します。

島野容三日本釣用品工業会会長の祝辞。日釣振のますますの発展を祈念

日本釣用品工業会会長の島野容三氏
日本釣用品工業会会長の島野容三氏

日釣振さんが設立50周年をお迎えになりました事、心よりお喜びを申し上げます。日釣振が設立された1970年といいますと、大阪で日本万国博覧会が開催された年です。日本の自動車産業、家電産業が世界に躍進していく、まさに幕開けの時期であったのではなかろうかと思います。

しかし、高度経済成長の代償として、今では考えられないような環境破壊など公害が深刻化していました。人、あるいは自然を苛み、我々の活動の原点である海や川の汚染が深刻化していました。そうした時代背景の中で、日釣振の設立目的である魚族の保護増殖、自然環境の保全は、その後の日本の環境保全の活動に大きな影響を与えてきました。

同時に経済の高度成長や複雑化に伴い、人間としての安らぎを与えるエッセンスとしての釣りの文化的高揚にも力を入れてこられました。これは髙宮俊諦会長はじめ歴代会長、関係者の皆様の大変なご努力の成果であると私は日頃から大変高い評価をさせて頂いております。

近年では日本釣振興会と日本釣用品工業会との協働事業である「つりビジョンコンセプトに基づくLOVE BLUE事業」も開始から約10年が経過し、水辺の保全、稚魚の放流、釣り場の拡大等にも社会的な認知が上がってきています。全国の漁業関係者、行政の皆様からも高い評価を頂けるようになってきました。我々と志を同じくする日釣振の大変なご協力、活動があってこそと感謝申し上げます。

今日の社会はいかなる事業もサステナビリティ抜きにはその価値を語れません。そういった意味で、人生100年時代、生き方、働き方といったものが多様化していく中で、私達も新しい価値の提案が求められています。これも、日釣振というその根底を支えてくれる存在が大変大事になってくると、私はかねがね思っています。これからも大いに日釣振に発展して頂きたいと思っています。今後の日釣振のますますの発展を祈念致します。

功労者表彰、多数の企業・団体から寄付金の贈呈

次に功労者表彰が以下の通り行われた(敬称略)。

麻生太郎(元内閣総理大臣・日釣振第5、6代会長)、小渕恵三(元内閣総理大臣・日釣振第3代会長)、島野容三(日本釣用品工業会会長)、常見保彦(日釣振創設者・元専務理事)、髙宮義諦(日釣振元副会長)、鈴木健兒(日釣振第4代会長)、中村和敏(日釣振元副会長)、松井義侑(日釣振第7代会長)、大藤勲(日釣振元副会長)、宮澤政信(日釣振元副会長)、牧野利春(日釣振元副会長)、塩澤美芳(日釣振初代外来魚対策委員長)。

日本釣振興会創立50周年記念式典の様子
功労者表彰の受賞者

次に寄付金の贈呈が行われた。寄付したのは以下の通り(敬称略)。それぞれ代表者等が壇上に立ち、麻生太郎名誉会長が目録を受け取った。
中央漁具・エバーグリーンインターナショナル、アイビック、全日本釣具組合、ひとけた会、上州屋、マルキユー代理店とマルキユー。

日本釣振興会創立50周年記念式典の様子
寄付金の贈呈者と記念撮影

最後に閉会の辞を鈴木康友常務理事が述べ、式典は終了した。

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