ベテラン釣り記者の竹村勝則(たけむらかつのり)氏が「昔と今の釣り」について思うままに語る、「釣り記者の回顧録」。
今回は、大阪湾の船釣りについて語ってもらいました。
夏から秋の人気ターゲット「サバ」。昭和の時代は専用の乗合船が大人気
大阪湾の船釣りもずいぶん様変わりしました。
昭和の時代は船釣りよりも、波止や川尻で釣りをする人が多かったものですが、昭和40年頃は、何とサバ釣りの乗合船が大盛況でした。
今ではサバ釣りの乗合船など考えられないことですが、当時は釣りが盛んになってきた頃で、サバは誰でも釣れて面白いので大人気でした。
大阪湾沿岸の武庫川尻、淀川尻、大阪港、大和川尻、堺周辺から10数軒もがサバ釣りの乗合船を出していました。
サバは夏から秋が好釣期で、釣り始めの頃は20~25㎝ですが、秋には30㎝ぐらいになって、ツバスまじりで強引をみせてくれます。
朝6時頃に乗船して昼頃に帰るが、皆クーラー一杯の大漁でした。持ち帰って食べきれず、近所にくばったものです。
当時の乗合船の料金は1人700円ほどです。波止渡しが200円くらいだったと思います。
誰でもよく釣れたサバ。今の大阪湾ではタチウオが人気!
サバ釣り乗合船は土、日、祝日は満員御礼の大人気なので、昭和42年の釣り雑誌に、サバ釣りの道具などについて記事にしたことがあるので少しふれてみたいと思います。
釣り方はノベ竿のミャク釣りでしたが、サバ釣り専用の竿の市販品がなかったので、手軽に作れる2mほどで先調子の2本継の竿の作り方を書きました。
道糸は4号、ハリスは3号、針はイセ尼の8~10号、オモリは特大13号、ハリスの長さは30~60㎝、仕掛けの全長は4.5mくらい。エサはイワシのブツ切り(1cm幅)。
竿先でアタリを取るのですが、タナは食いが良い時は1ヒロ、深くて2~3ヒロ。サバは食いがよいので誰でもよく釣れました。
サバは生きグサリともいうので、クーラーには氷をたっぷり入れたのは昔も今も変わりません。
サバがいなくなったわけではありませんが、その後、サバ釣りの乗合船は見られなくなりました。
しかし、今の大阪湾沿岸の船釣りは、立派な乗合船、ルアー船が多く、昔では考えられないほど増え、季節の魚を釣っています。
とくにタチウオ釣りが人気で、「大阪湾タチウオKINGバトル」が催されています。
大阪湾の乗合船は、サバ釣りから始まり、タチウオ釣りになった感じです。
これも時代の流れでしょうか。
(了)
竹村勝則氏のプロフィール
竹村勝則(たけむらかつのり)
昭和16年生まれ。
月刊雑誌「釣の友」(釣の友社)編集長を経て、週刊「釣場速報」の編集長(名光通信社)等を歴任。
釣りの記者歴だけでも軽く50年を超え、今でも釣行回数は年間120日以上!
国内で最も古い時代から活躍する釣り記者の1人だ。