全九州釣ライター協会の会長・小野山康彦氏の連載です。公益財団法人日本釣振興会九州地区支部の活動ほか、九州の様々な情報を紹介します。
「延岡磯研」主催のチャリティー大会。釣りを通じて地域に貢献を
第3回の今回は、当協会の会員が宮崎県で企画・実行し当協会が後援している「延岡磯研チャリティー釣り大会」についてお伝えします。
宮崎県延岡市のグレ釣り名手・橋本敏昭氏(全九州釣ライター協会常任幹事)は、1988年1月1日に発足した釣りクラブ「延岡磯研」(藤田浩会長)の事務局長を務めています。
クラブ発足前、橋本氏はテレビ番組の「がまかつ日本列島釣りある記」に2回ほど出演しており、撮影に同行していた当協会の小路隆事務局長(弾涛竿)から釣りクラブの結成を奨められ、橋本氏が初代会長となって会員19名で発足しました。
クラブの規約には、釣り人のマナー向上や釣り場の環境保全、自然保護などと共に「チャリティー釣り大会」を年に1回開催し、釣りを通じて地域社会に小さな貢献を行うことを掲げました。
そして同年5月8日、宮崎県門川町の沖磯で「第1回チャリティー釣り大会」を開催したのです。
釣技を競うだけで社会貢献ができる!?魚市場や渡船船長も協力、広がる善意の輪…
この大会は、参加者たちが釣った魚を社会福祉施設に寄付することを目的としました。
大会規定は25㎝以上の食べられる魚(ウツボなどの長物の他、フグ、バリ、ベラ、アオブダイ、イズスミ、ボラ、イチノジ、テングハギは対象外)です。
この趣旨に賛同する多くの参加者が集まりましたが、釣果は稀に見る絶不調で寄付する魚がほとんどありませんでした。
それを見かねた渡船の船長が、新鮮なイワシを5、6箱寄付してくれました。会員たちは船長の心意気に深く感謝しながら、施設に魚を届けることができたのです。
ところが翌日、思わぬ展開が待っていました。
① 施設には魚を捌ける担当者がいない
② 調理したとしてもお年寄りの喉に骨が刺さる等の事故が心配
③ 施設は既に1週間の献立が決まっているために使えない
などの理由で魚は施設の職員さんたちが持ち帰り、偶然にもその魚が回り回ってクラブの会員宅におすそ分けとして届いたのです。
小さな善意で始めたチャリティーが大きなお世話になってはいけないと橋本氏たちは悩みながら対策を練りました。
その結果、延岡魚市場に相談して釣った魚をセリにかけていただき、その益金を社会福祉協議会へ寄付する方向に変換したのです。
また、大会の瀬渡しをしてくれる船長からも寄付の申し出があり、釣り人のみならず魚を生業とする人たちの善意の輪が広がりました。
大会は「釣技を競うだけでなく社会貢献もできる」と釣り人たちの間で話題になり、回を重ねるごとに県外からの参加者も増えてきました。
今年は3年ぶりの開催。集めた益金は累計140万円以上!
2020年以降、コロナウイルス感染拡大を受けて大会は中止せざるを得ませんでしたが、ようやく今年6月19日に延岡市の島野浦一帯で「第31回大会」を開催しました。
第1回大会から今回までの参加人数は延べ1447名、今年の益金2万8912円を加えた益金の合計は144万4935円となりました。
益金は地元の社会福祉協議会に寄付したほか、東日本大震災や熊本地震の義援金として日本赤十字社へも寄付を行いました。
近年、釣りクラブ加入者が減少していますが、釣りクラブに加入することで安全対策を学び、マナーの向上や釣技を磨くことができます。
さらに今回のように、クラブならではの活動として魚釣りを楽しみながら社会貢献が実現できる事例は、釣り文化のさらなる発展に繋がるものと考えます。
このチャリティー釣り大会にご協賛いただいている各社(順不同・敬称略)は、がまかつ、マルキユー、釣研、東レモノフィラメント、キザクラ、ボナンザです。心より感謝申し上げます。今後もより多くの皆様からのご賛同をいただければ幸いです。
(了)
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