海の中ではメジナはどんな行動をとるのか?
これとは別に、愛媛県の宇和島湾の磯でメジナが海中でどのように餌(練り餌)を食べるのか、水中カメラを投入した撮影に立ち会ったことがあります。
最初に撒きエサを投入すると、手のひらから足の裏サイズまでのメジナと、無数のベラやスズメダイなどの小魚が集まってきました。
そこで、ケーブルの付いた水中カメラを陸から少し離れた場所で垂直に投入すると、近くにいたメジナは一斉に逃げてしまい、わずかな数の小魚だけになってしまいました。しばらく待ってもメジナは一向に近くに集まってきません。
これでは撮影になりませんから、今度はそのケーブルを磯伝いに這わせるようにしたところ、20分ほど経過すると最初と同じ状態の無数のメジナや小魚が集まってきたのです。
メジナは2号の太さの釣り糸を避けていたわけですから、垂直に投入しても磯伝いに這わせても多少の位置に違いはあるものの、それよりずっと太いケーブルはメジナからは見えているはずです。
このことから、お魚が糸やケーブルを怖がるのかそうでないのかは、見え方(見せ方)の違いによる要因が大きいと考えられます。
太い糸は細い糸より釣れない…。その理由を考察!
私の家から小一時間ほど車を走らせると、灌漑用水を貯めるダムが点在していて、ヘラブナの好釣場になっています。
年配のヘラ釣り師との会話の中で、ヘラブナは太い仕掛けでは釣れないということをよく耳にします。
そこで、普段使用している0.6号のハリスでヘラブナを釣ると、いつも通り20~30分経過するとポツリポツリ釣れ始めたので、今度はそのハリスをピンク色に着色したナイロン3号に交換しました。
餌を付けて投入すると、最初はアタリが出ても空振りする、いわゆるカラツンという状態が2投続いて出たため、もしかすると3号のピンク色のナイロン糸にヘラブナが違和感を抱いているのかと思いましたが、その後は0.6号のハリスと何ら変わることなく釣れ続きました。
この結果を見る限りでは、ヘラブナは仕掛け(ハリス)が太いと釣れないという話は正しくなかったということになります。
では、なぜ釣り糸を細くした途端お魚が釣れることがあるのでしょう?
その1つは、先ほどのケーブルのように、何らかの理由でお魚が釣り糸を怖がっていることが考えられます。
特に多くの釣り人が訪れる人気釣り場ではその傾向が強いと感じます。元々お魚からは見えている釣り糸に対して、繰り返し釣られる、あるいは危険な思いをすることにより、お魚にとって釣り糸は怖いものだと学習してしまうことがその理由の1つと考えられます。
もう1つは、釣り糸が太いことにより、風の影響を受けやすくなります。また、水の流れは一般的に表層近くの方が低層付近よりも速いため、仕掛けが太いと先端にある餌は不自然な流れ方になってしまい、本来の餌とは異なった流れ方になります。
太い釣り糸は風や水流によって余計な弛みが生じてしまい、それらが影響して、細い釣り糸よりもアタリを取りにくくなることもあります。また、仕掛けの沈下速度が遅くなることもあるでしょう。
先ほどのヘラブナ釣りにおいては、ハリスを3号にしたことによりヘラブナ専用の釣り針を結ぶ時、プライヤーを使って相当しっかり締め付けないと針がすっぽ抜けてしまいましたから、ヘラブナ釣りのハリスとして使用するには適正な太さではないということになります。
どうやら太い釣り糸は、お魚から見えるため釣れなくなってしまうというのは正しくはないようです。
(了)
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