アユ釣りは「ドブ釣り」から「友釣り」へ。江戸時代から行われていた!? 気品あふれる釣法【竹村勝則・釣り記者の回顧録】

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ベテラン釣り記者の竹村勝則(たけむらかつのり)氏が「昔と今の釣り」について思うままに語る、「釣り記者の回顧録」

今回は、竹村さんが経験した昔のアユ釣り「ドブ釣り」について語ってもらいました。

「凝り性の人は鉄砲と友釣りはやめておけ。人生が狂ってしまう」

以前こんな話を聞いた事がある。

趣味を持つのはいいが凝り性の人は、鉄砲と友釣りだけはやめておけ。どちらも一見とっつきにくいが、やり始めるとその面白さにハマってしまう。

仕事が手につかなくなり、猟に釣りに行くため有給休暇はすでに取って残っていない。そこで親戚の人が死んだ事にして休みを取る。それが度重なるともう死ぬ人(?)がいなくなる。

凝りに凝ると家庭崩壊になりかねず、人生が狂ってしまう。それほど面白いものなのである。

趣味が生業になれば言うことはないが、それはごく一部の人だけで、そうはうまくいかないのが人生。何事もほどほどにという先人の教訓である。

アユ釣りをしている風景
今のアユ釣りは友釣りが主流だ。ともかく、アユ釣りは本当に面白い

話がそれてしまったが、アユ釣りは本当に面白い。

荒瀬に立ち込んで持つ竿に、ガツーン、ギューン。その強引をタメながら瀬を駆け下り、やっとの事で背掛り鮎をタモに取り込んでホッと一息。真夏の暑さなぞ吹っ飛び、何もかも忘れてアユ釣りに没頭する。

これはアユの友釣りのことで、昔のアユ釣りは友釣りもさることながらドブ釣り(毛針釣り)が盛んだった。

かつては「川の虫」とも呼ばれたアユ。昔は毛針を使った「ドブ釣り」で釣っていた

ドブ釣り(沈み釣りともいう)はおそらく江戸時代から行われていたのではと思うが、私が聞いた昭和初期の頃の話では、川もキレイで、海からの天然遡上のアユが多かった。

毎年春になると鮎が「川の虫」と言われるほど多く、黒い帯のようになって川を遡っていった。今ではめったに見られない光景だ。

アユ
アユは、釣りの対象魚として歴史のある魚だ

当時のドブ釣り竿は和竿の3間か4間(1間=約181㎝。3間で約5m43㎝)で道糸の先に小さなテンビンにオモリを付け、テンビンの先に人造テグス付きの毛針を付ける。

竿先を上下させ、毛ばりを動かして誘いを掛け、アユに食い付かせる独特の釣法である。

初期のアユは川虫をエサとするので、理にかなっている。

竿が長くて仕掛け糸が短いので、アユが掛かると、竿の手元から1本ずつ抜いて鮎を取り込んだ。

ドブ釣りで一番大事なのが、言うまでもなく毛針で、播州針、加賀針、土佐針が有名。アユ毛針は種類が多く、川により、その日により、水況によって当たり針がある。それを選ぶのも釣り師の腕の一つと言われる。

ドブ釣りの毛針などについては、奈良の故前田安道氏が詳しく、昭和の時代に釣の友誌に記事を連載していたので、古い釣り人なら覚えておられる方もいらっしゃるだろう。

ドブ釣りとは語呂はよくないが、気品のある釣りで、天然遡上アユが多い川では良く釣れる。

古い話だが、私も数十年前に、日高川(和歌山県)の高津尾でドブ釣りをして、小型アユだったが10数尾釣ったのを覚えている。

アユ釣りをしている風景
環境の変化と時代の流れと共に、アユ釣りはドブ釣りから友釣りへ…

近年のドブ釣りは、天然遡上の多い川のみで楽しまれているぐらいで昔のような賑わいはない。

これも環境の変化と時代の流れであろう。今のアユ釣りは友釣りが主流となっている。

(了)

竹村勝則氏のプロフィール

竹村勝則氏の写真
今も編集部の中で毎年トップクラスに日焼けしている竹村さん。現役バリバリの釣り記者だ

竹村勝則(たけむらかつのり)
昭和16年生まれ。
月刊雑誌「釣の友」(釣の友社)編集長を経て、週刊「釣場速報」の編集長(名光通信社)等を歴任。
釣りの記者歴だけでも軽く50年を超え、今でも釣行回数は年間120日以上!
国内で最も古い時代から活躍する釣り記者の1人だ。

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