2021年3月31日、公益財団法人日本釣振興会の髙宮俊諦会長、常見英彦副会長、下山秀雄専務理事が麻生太郎副総理・財務大臣(日本釣振興会名誉会長)の野田友視秘書と、国土交通省港湾局長の高田昌行氏、農林水産省水産庁次長の神谷崇氏を訪問し、日釣振からの要望書を提出した。
※本記事は釣具新聞2021年4月15日号に掲載した記事です。役職名等は当時のままで掲載しています
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国土交通書への要望書概要
要望省の詳細は次ページで詳細を説明するが、まず、国土交通省(以下、国交省)に提出した要望書の主な内容は以下の通りだ。
①「釣り文化振興モデル港の本開放の後押しとその他港湾施設の開放」
② SOLAS対象の港湾施設の立ち入り禁止の見直し
③ 海釣り施設の増設
いずれも、安心・安全で釣りが楽しめる釣り場の確保や釣り場の拡大に直接関係する重要な要望だ。
国交省と日本釣振興会(以下、日釣振)が協力して取り組んでいる「釣り文化振興モデル港」は、地域振興に繋がるとして各地域の行政からも注目されている。
SOLAS条約により閉鎖された釣り場も多いが、この問題が釣り界に与えた影響は大きい。閉鎖となった場所が一定数でも開放されれば、釣り場は大きく拡大する可能性がある。
また海釣り施設もそうだ。台風や大雨により、全国的に海釣り施設に被害があり、一部では損壊して閉鎖となり、そのままの状態になっている施設もある。
関西の兵庫県神戸市では、「須磨海釣り公園」が2018年の台風被害により休園し、現在も休園が続いている。
近年では年間約6万人が訪れていた施設だが、この施設が休園している事により、周辺の漁港等に釣り人が溢れ、漁師らが神戸市に対して海釣り公園の早期再開を求めるといった事態もあった。
コロナ禍で釣り人が増えたと言われており、より安心・安全で釣りが楽しめる場所の確保が必要だ。
水産庁への要望書概要
① 現在、水産庁が漁港のフル活用を進めている中で、釣り施設を漁港内に取り入れる事によって活性化を図ろうとしている都道府県の漁港漁場管理者、漁業協同組合との意見交換会(オンライン)の開催
② 東京都と茨城県のまき餌解除
③ 漁港内の釣人によるトラブル解消について、水産庁と連携
これも非常に重要な提案ばかりだ。
「漁港のフル活用」については、今後期待の出来る事業で、釣り界としても注目の事業だ。
(※この要望書提出後、各都道府県の漁港管理者と日本釣振興会の意見交換会が行われている。編集部追記)
要望に対する各省庁の見解
【国土交通省】
釣り文化振興モデル港のうちまだ、解放されていない港湾施設等について地元の協議会等継続して協力体制を取っていきたい。
また、ソーラスエリアの港湾施設については、清水港日の出ふ頭、竹原港電発ドルフィン施設、宇野港日比地区物専埠頭、高知港三里地区岸壁、下関港あるかぽーと岸壁、横浜港大さん橋の国際埠頭施設を釣りイベントに解放した事例がある。今後については、開放日の日数等を増やすことを検討していきたい。
また、海釣り施設については都道府県で対応している。
【水産庁】
漁港の有効活用や漁港内での漁業者と釣り人とのトラブルについて、都道府県の漁港漁場管理者、漁業協同組合とのオンラインによる意見交換会を開催することに関しては、日本釣振興会が主導で進めていただければ、水産庁としては協力体制を取っていきたい。
また、現在釣り人とトラブルになっている漁港については、水産庁と日釣振が連携して対応していく。
また、東京都と茨城県のまき餌解除については、それぞれの事情を踏まえて継続審議として対応していきたい。
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