近年アユをルアーで釣るアユイングを扱った記事やSNSが多くなってきています。アユ釣りをする人には釈迦に説法かもしれませんが、そうでない方のために解説します。
アユは成長すると苔を食む(はむ)食性になります。良い苔の生えた石の周りを自分の縄張りとします。その縄張りを犯すものを攻撃し、排除するという行動をします。その習性を利用したものが友釣りです。
オトリと呼ばれるハリを装着したライブベイト(生きたアユ)を泳がせ、攻撃してきたアユがそのハリに掛かってしまうという釣り方です。
普通の釣りと異なるのは、アユの口に針が掛かることはほとんどなく、攻撃の際には相手の体めがけてぶつかってきますから、オトリについているハリが引っ掛かってしまうといった理屈で釣り上げることです。岐阜県の郡上市では「アユ掛け」と呼ぶ人もいます。
この釣り方ならば、オトリはライブベイトではなく、ルアーでも大丈夫と多くの釣り人が考えることでしょう。
そもそもルアー禁止エリアが多いのはなぜ?
ルアーでのアユ釣りは、今まではそれほど流行りませんでした。その主な理由は、アユで漁業権を持つ漁協がルアー釣りを禁止しているからです。禁止する理由は様々ですが、1番にあげられるのはオトリ販売というビジネスを守るためです。
友釣りを開始するには、最初にオトリが必要です。釣り人が多い川ではオトリ販売所があって、友釣りをする人はまずここへ立ち寄り、オトリアユ(ほぼ養殖アユ)を購入します。上手な人なら1尾買えば十分ですが、大概2~3尾購入します。
この価格が1尾500円前後(多摩川は600円)です。遊漁料が大体2000円ぐらいですから、2尾買ったとして3000円の売り上げになるわけです。
最初の1尾をまずルアーで釣ってからとなるとこのオトリアユが売れなくなるため、ルアーの使用を禁止しているのです。今でも頑なにルアーを禁止している漁協は多いものです。
しかし、近年高齢化などによってアユ釣り人口は減少の一途です。遊漁券はもちろんオトリ販売もままならず、川の区間によってはオトリを売っていない場所さえ出てきています。
水産庁の内水面漁業振興室も「やるぞ内水面」という助成金制度で各地の漁協に生き残り作戦の公募をしましたが、その中にもアユルアーの開放がありました。
そんな動きもあり、若者を取り込もうとする漁協が売り上げも伸びているのです。さらに、大手メーカーが積極的にアユイングの広報を開始したため、認知度は高まったように感じます。
ルアー可能区間が広がると、どんな効果がある?
例えば、相模川はルアーが認められているのは在架依橋から昭和橋の区間。渓流魚などのキャッチ&リリース区間から比べれば広大なエリアですが、アユ釣りをする方が見たら非常に狭い区間です。魚は天然遡上のみですから放流魚は混じっていません(ルアーファンからすればいい魚です)。
この狭いエリアに、今まで来ていなかった若者たちが遊漁券を買い、周辺のコンビニで食料を買ってくるのです。
さらにはそれまで持っていなかった友船、玉網、アユベルトも買ってくるのですから、周辺や釣り人の地元の釣具店、ネットショップではアユ用品の売り上げが急増するわけです。私の友人には、釣ったアユを新鮮に保存するために真空パネルクーラーまで買った人もいます。
そしてルアーもアユイング専用のものが売られています。ちなみに私はバス用ルアーに自動ハリス止めを装着して釣りました。