ベテラン釣り記者の竹村勝則(たけむらかつのり)氏が「昔と今の釣り」について思うままに語る、「釣り記者の回顧録」。
今回は、昔と今の大阪湾の波止釣りについて語ってもらいました。
1日50~60尾釣れることも!岸和田沖一文字はアジの好ポイント
手軽な波止釣りは、昭和の時代から盛んでした。大阪が地元の筆者は大阪港や堺、岸和田、武庫川沖、神戸港などの沖の波止へ昔も今も釣行しています。
その波止釣りで思い出すのは今から50年ほど前の岸和田沖の一文字の小アジ釣りです。
当時は沖に一文字は一つしかなく、山田渡船が渡していました。
その一文字の南端が小アジの好ポイントで、サビキ釣りはせず、あえて1本釣りをしていました。
和竿の2間半(4.5m)で、クジャクの羽根ウキ、エサはシラスでマキエはなし。タナは1~2ヒロで、ウキがスッスーッと入る。手首を返して合わせるとグイ、グイーッとくる小アジの強引。15cm前後の小アジだが、和竿での釣味はまた格別でした。
朝夕の時合はとくに食いがよく、50~60尾は釣れて楽しめました。
この一文字では、エビ撒き釣りのハネ、フカセ釣りのチヌもよく釣れました。
今は沖に一文字(埋立地ができ、半分地続きとなった)と地の一文字の2つの波止があり、両波止とも小アジは釣れるがサビキ釣りの人が多い。
その昔、堺の沖波止では半夜釣りでもよく出掛けました。イチヨセをエサに3mほどの竿で波止際をコスリ釣りでチヌを狙うのです。
この釣りは小アジ釣りより難しく、ババタレ(チヌの手のひら前後の型)が2、3尾釣れれば良い方でした。
当時の波止釣りといえばチヌ、ハネ、セイゴ、小アジ、小サバ、アブラメ、メバル、ガシラ釣りでしたが、年によってはサンバソウ、バリコ、サヨリなどもよく釣れたものです。
様変わりした大阪湾。秋の波止は右も左もルアー釣り…
大阪港周辺は昔と比べると大きく様変わりして今は新しい埋立地の夢州と舞洲ができています。
夢州の釣りでは渡船利用となるが、舞洲は足場が良い釣り場で、駐車場(有料)もあり、ファミリーフィッシングでも楽しめるようになったのは大きな進歩です。
昔の波止釣りは、エサ釣りが主だったが、今はどこの波止へ行ってもルアー釣りの人の方が多い。
これは青物(ハマチ、メジロ、ブリ、サゴシ、タチウオなど)が釣れるようになったのと、メバリングやアジング人気の影響だと思う。
これは大阪湾の波止釣りだけではなく、全国的だと思われます。これも時代の流れでしょう。
(了)
竹村勝則氏のプロフィール
竹村勝則(たけむらかつのり)
昭和16年生まれ。
月刊雑誌「釣の友」(釣の友社)編集長を経て、週刊「釣場速報」の編集長(名光通信社)等を歴任。
釣りの記者歴だけでも軽く50年を超え、今でも釣行回数は年間120日以上!
国内で最も古い時代から活躍する釣り記者の1人だ。