釣りエサのスペシャリスト・長岡寛さんの連載です。釣りエサに関する事以外にも魚の生態や環境など様々な内容を紹介します。
今回は、釣りエサの重要性について解説して頂きました。
初心者にはどのような道具を提案すればいいのか?
釣りに行くためには釣り道具が必要になります。釣り道具をレンタルにするのか自分で購入するのかは別として、釣り道具というとまず初めに連想するのは釣竿、そしてリールという方が多いかと思います。
当たり前のことですが、竿やリールなどは高価なものは相応の出費が伴います。誰もが出費が大きいものに対して関心が高くなるのは当然のことでしょうから、釣り人が竿やリールを購入するとなれば色々と考えを巡らせることでしょう。
そして釣具メーカーから小売店に至るまで、高価な道具が売れればその分利益も高くなりますから、消費者である釣り人だけでなく業界に関わる多くの人たちの関心もそこに集中することになります。
しかし多くの場合竿やリールは高価なものでなくても(状況によりますが)十分に釣果を上ることが可能です。
カメラに例えるなら、高級なミラーレスや一眼でなく旧タイプのモデルであっても、場合によってはスマホでも十分に被写体の画像を取り込むことは可能です。
もちろん高価なものにはそれなりの優れた機能や使い手の満足度を高める効果も期待できます。
しかしながらどんなに高級なカメラを使ってもレンズが届く範囲に被写体が入らなければ撮影することは不可能です。竿やリールも同様、どんなに高価な道具を使っても魚がエサやルアーに食いついてくれなければ、決して魚が釣れることはありません。
申し上げるまでもなく魚釣りは魚が仕掛けに装着したエサやルアーを食ってくれることによってはじめて成立します。
釣りをはじめたばかりの人が欲しいのは「道具」ではなく「釣果」
私もメーカーで開発業務に長年携わってきましたから、どうしても自分が携わった製品は高い価格を設定したいと思っていましたし、必ず売れると確信していました。反対に競合メーカーとの関係上、価格設定など必ずしも本意ではないという場面にも幾度も遭遇しました。
しかし不思議なことにユーザーの皆様から沢山の支持をもらえる製品の多くは、このような競合がある場合に生み出されたことがとても多いのです。おこがましい言い方になってしまいますが、メーカーが満足する製品とユーザーが満足する製品の間には常にギャップがあるということを思い知らされました。
そんな観点から釣り道具を考えて、初心者を増やしたいと思うのであれば高価な道具を買ってもらいたいという気持ちを持ちつつも、まずは必要最小限の道具を購入してもらうという選択肢も重要ではないかと考えています。
もちろん既に多くの関係者はそのことに気づかれていて、店頭ではお買い得な釣具セットを昔よりも多く目にするようになりました。
釣りの経験を多く積んだベテランともなれば、釣り場や釣り方、そして道具へのこだわりが強くなることでしょうから高価な道具であっても納得されて購入していることでしょう。
でも、釣りを始めようとする人、あるいは始めたばかりの多くのユーザーが欲しいのは道具ではなく釣果です。
初心者の多くは魚が全く釣れないとなれば、根気の良い人であれば2~3回は通うにしても、場合によっては他のレジャーに心が移ってしまうかもしれません。