「このワーム持って釣りに行く!」高等学校でワーム製造実習、魚の生態や環境の大切さ伝える

スペシャル ニュース

フィッシング彩代表の長岡寛氏が岩手県立久慈東高等学校に出張授業

岩手県の北部、太平洋に面した久慈市は漁業が盛んであるだけでなく、水量豊かな久慈川の清流にも恵まれた風光明媚な地域で、琥珀を用いた美しい装飾品でも有名です。

その街並みの北側に位置する岩手県立久慈東高等学校は設立が大正9年と歴史が古く、幾度かの統廃合を経て平成16年に久慈農林高校、久慈水産高校、久慈商業高校の3校が統合し総合学科高校として現在に至っています。

今回はその中の海洋科学系列・上野先生よりご要望があり「釣りと環境の科学」というタイトルで2021年11月24日に講義と実習を行わせて頂きました。

長岡寛氏による岩手県立久慈東高等学校での講義の様子
講義の様子。魚の生態や釣り人のマナー、環境問題などについての話が行われた

コロナウイルスによる感染症の影響で、この講義はずっと延び延びになっていましたが、10月に緊急事態宣言が解除となり、ようやく実施となりました。

私が水産系の高校で講義と実習を開始したのは2013年に福井県立小浜水産高校(現福井県立若狭高校海洋科学科)で、その後、別の高校からも要請があり現在も続いております。

上野先生は釣り好きでもありますが、陸上部の顧問もされて優しく熱心であることから、生徒さんからも大変好かれています。

講義前に高橋校長先生と面談。釣り業界の仕事も紹介

当日は朝少し早めに学校の正門に到着すると、登校してくる生徒さんの気持ちの良い挨拶を受けながら機材の準備に取り掛かりました。

授業の開始は午前9時からということで、講義も9時スタートとなりました。

それに先立ち校長の高橋克壽(たかはしかつとし)先生に大変ご多忙の中時間を割いて頂き、面談をさせて頂きました。

校長先生から最初にご質問を受けたことは、昨今話題になっている海水温の上昇による釣り魚の変化についてで、温暖化による海洋の環境変化に大変危惧しておられるご様子でした。

海洋科学系列の生徒さんは、国立・海洋系大学をはじめ国立海上技術短期学校への進学のほか漁協関係、水産加工ならびに販売、漁船や実習船の乗組員、海上自衛官などが主な進路となっています。

そうした背景も踏まえ、校長先生からは講義に際して釣り業界にはどんな仕事があるのかについても紹介していただきたいというご要望がありました。

写真右より上野先生、高橋校長先生、筆者の長岡寛

講義スタート。魚の「鰓耙」って知ってますか?

講義と実習は1時限目から4時限目までの通しで、今回は2年生と3年生合わせて17名でした。

最初の1時間は講義で、この10月(発刊後2年ほどで)3回目の増刷となりました拙著「釣りエサのひみつ」(つり人社刊)に記載した内容に基づいて、お魚が釣り餌を発見するプロセスとして大変重要な視覚、聴覚、嗅覚、味覚のほか、お魚特有の組織である鰓耙(さいは)や側線の役割についてイラストや画像を多く用いて説明をいたしました。

鰓耙(さいは)…エラの一部で魚が口から吸い込んだものを固形物と水とに分離する濾過器官

長岡寛氏による岩手県立久慈東高等学校での講義の様子
魚の生態について詳しい生徒にも興味を持ってもらえる話が行われた

お魚が色を識別できているのかということについてと、音を聞き分けているのかといったことについては生徒さんの多くは熟知していましたが、嗅覚の感度や水中の餌を飲み込む時、なぜ水と分離させることが出来るのかなどについては新鮮なイメージを抱いてもらえた様子でした。

その中でもルアーは何色が一番よく釣れるのかという部分については、とても熱心に聞き入っていたと感じました。

講義の後半では環境への取り組みとして、生分解ワームについてのお話と公益財団法人日本釣振興会の取り組みについて、ゴミやマナーについての他、今年10月に実施された東京の若洲海浜公園での清掃活動の様子や、日本釣振興会からお預かりしたパンフレットと小冊子も活用させて頂きました。

日本釣振興会の清掃活動の様子
日本釣振興会では全国各地の水辺を清掃を行っている(写真は東京の若洲海浜公園での清掃の様子)

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