【第14回】3年目の「やるぞ内水面漁業活性化事業」電子遊漁券販売システム導入中心に30事業を補助

スペシャル ニュース

令和元年度から始まった水産庁の補助事業「やるぞ内水面漁業活性化事業」が3年目を迎えた。

やるぞ内水面漁業活性化事業のポスター
釣具新聞2021年7月15日に掲載した「内水面釣り場の未来」で紹介した「令和3年度 やるぞ内水面漁業」は、7月に入り2次募集が開始となった。1次募集で30団体の事業が採択されたが、さらに参加団体が増えることになる。なお、2次募集の案内書には「ゾーニングによる漁場管理」と「釣り人等と連携した漁場管理」の事例が紹介されている。詳細は同事業のホームページにて

「やるぞ内水面漁業活性化事業事業」の運営は全国内水面漁業協同組合連合会と公益財団法人日本水産資源保護協会が共同で行い、将来につながる画期的かつ効率的な漁場管理モデルの創出を目的としてスタートした。

3年目は過去2年間の事業の中から高効率で普及・展開が期待される次の3つの事業、①電子遊漁券販売システムの導入、②ゾーニングによる漁場管理、③釣り人等と連携した漁場管理の3つに絞られ、採択された30団体の事業が発表された。

釣り人等と連携した漁場管理も補助の対象となる

「やるぞ内水面」の補助金を活用した事業数は1年目が12、2年目が11なので、今年度はその数が約3倍になった。実施団体リストを見ての通り、事業の取り組み内容はICT(電子遊漁券)導入が大半を占めている。

やるぞ内水面漁業活性化事業の表

ICT活用で漁業が変わる!? 起点となる遊漁券のネット販売

やるぞ内水面事務局が遊漁券のネット販売促進に力を注ぐ背景には、漁協スタッフの高齢化や減少に伴う地域の過疎化が挙げられる。地方のアユ友釣り河川を例にとると、廃業するオトリ店が後を絶たず、オトリと同時に遊漁券が購入できなくなるケースも少なくない。

釣り人が釣り場へ向かうルート上にあるコンビニの協力を得て販売する地域も増えてはきたが、「遊漁券を買いたくても購入する場所がない」という釣り人からの声はまだまだ多い。

遊漁券販売システムの改善は、釣り場運営に苦戦する漁協にとって大きな課題だ。

しかしながら、遊漁券のネット通販自体は先進的なサービスではない。事前に申し込めば遊漁券を郵送してくれる漁協も以前から少なからずあった。電子遊漁券販売システムの導入メリットとして注目したいのは、そこから派生する顧客(釣り人)データを活用してのサービス向上や、漁場管理の効率化だ。

データを活かしたサービス向上や漁場管理の効率化を期待

その内容については、電子遊漁券の発行サイトを見れば一目瞭然だ。現在、遊漁券販売代行のサービスを事業展開しているのは「つりチケ」「フィッシュパス」の2社で、どちらのホームページともに釣り人に有益な情報を発信し、メディアとしての充実度も高い。また、漁協の広報機関の一部になっている。

つりチケを運営している一般社団法人クリアウォータープロジェクトはサポート企業とのコラボレーションでフィッシングスクールを企画したり、漁場管理の支援を釣り人に働きかけたりなど、弱体化する漁協組織をしっかりと支えている。

つりチケのトップページ
つりチケのトップページ

愛知県寒狭川では5月下旬に開催された釣り大会では遊漁券購入と参加費がつりチケで同時に決済でき、釣り場でのキャッシュレス化も進めている。

また、株式会社フィッシュパスではGPS機能を利用した位置情報アプリによる釣り場監視など、漁協スタッフの生産性を高める提案も行っている。こちらも遊漁券発行に留まらず、自動販売機の「オトリあゆ券」を販売したり、ICTを活用したカワウ対策にも貢献した。

フィッシュパスのトップページ
フィッシュパスのトップページ

遊漁券のネット通販は釣り人と漁業者を遠ざけ、遊漁券販売店と競合するため否定的な漁協もあるが、むしろ電子遊漁券販売システムを導入することで、釣り人と漁業関係者の結び付きが強まる事例が増えている。

ICTの活用で内水面漁業どう変わっていくのか。釣り人のデータが内水面の釣りに活かされることを期待したい。

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