主要バス釣り場の6割以上が遊漁料に準ずる協力金を徴収
新しくブラックバスを活用する釣り場を紹介したが、全国のバス釣り場全体の管理状況はどうなのか。バストーナメントの全国組織「日本バスクラブ(NBC)」が以前に調査したデータを紹介しよう。
この組織にはNBCチャプターとNBC陸釣りクラブという支部が東北から九州まで各地域で活動している。釣り場は海区扱いの琵琶湖や霞ケ浦水系、バスの第五種共同漁業権免許を与えられた湖、河川、自然湖、ダム湖、管理釣り場など様々なフィールドでバストーナメントを開催している。
その各釣り場の管理状況は下表の通り。海区扱いの湖では遊漁料は徴収できないが、漁協の管轄内にある多くの釣り場でバスは漁場管理に貢献しているといえるだろう。
【NBC活動フィールド実態調査】 |
NBC支部50 |
◎NBCチャプター(46) ◎NBC陸釣りクラブ(4) |
活動フィールド総数 全国45 |
◎ダム湖・貯水池(25) ◎自然湖(10) ◎河川(8) ◎管理釣り場(2) |
遊漁料(釣り料・協力金含む) |
有・・・25 / 無・・・20 ※無料だがレンタルボート料に環境 整備協力金が含まれている釣り場が3カ所 |
地元の協力度 |
バス釣りの振興に前向き・・・20 駆除活動実施など非協力的・・・4 バス釣りに無関心・・・21 |
芦ノ湖のバス漁業権は大正時代から?
現在、ブラックバスの第五種共同漁業権免許は芦ノ湖・河口湖・山中湖・西湖を管理する4漁協に与えられている。2000年以降もブラックバスの漁業権魚種認定や特別区を申請した漁協はあったが、1994年の山中湖・西湖の漁業権魚種認定を最後に、その後は認められていない。
外来生物法施行後は特定外来生物の扱いがより厳しくなり、新たにブラックバスの漁業権免許を取得することは難しいだろう。ただし、ブラックバスという人気のゲームフィッシュを活用する釣り場は再び増加傾向にある。
【ブラックバス漁場管理に関する主な動き】
1925年 | 赤星鉄馬氏により、大正14年に 87尾のブラックバスが芦ノ湖に 移植される |
1949年 | 漁業法制定。施行日は1950年 3月14日 |
1951年 | 芦ノ湖のブラックバスが漁業権 魚種に指定される。<※1> |
1986年 | 河口湖にてブラックバス漁業権 魚種定促進実行委員会が発足 (長島常雄委員長) |
1988年 | 河口湖漁協、河口湖町をはじめ とする地域の町村(現・富士河口 湖町)、日本バスプロ協会等6 団体で河口湖のブラックバス 漁業権魚種指定を希望する 陳情書を山梨県へ提出 |
1989年 | 河口湖のブラックバスが漁業権 魚種に認定される |
1994年 | 山中湖・西湖のブラックバスが 漁業権魚種に認定される |
2000年 | 漁協が定める遊漁規則等で 芦ノ湖でのワーム使用が 禁止になる |
2001年 | 河口湖で遊漁税(法定外目的税) を導入。その税収により湖畔に 釣り人専用駐車場を設けるなど、 釣り場環境整備を進める |
2003年 | 神奈川県内水面漁場管理委員 会指示により、芦ノ湖を除く 神奈川県内の公共水面における ブラックバスのリリース禁止 を決定 |
2004年 | 河口湖が2度目、山中湖と 西湖が最初の漁業権免許を更新 |
2005年 | 外来生物法を施行。ブラック バスが特定外来生物に指定される。 山梨県内水面漁場管理委員会 指示により、河口湖・山中湖・ 西湖を除く山梨県内の公共水面に おけるブラックバスのリリース 禁止を決定 |
2007年 | 漁協が定める遊漁規則等で 河口湖でのワーム使用が禁止 になる |
2013年 | 芦ノ湖は8月31日、河口湖・ 山中湖・西湖は12月31日に ブラックバスの漁業権免許 期間の満了を迎える。 外来生物法施行以降、初めての 同免許の切り替えとなる |
2014年 | 芦ノ湖・河口湖・山中湖・ 西湖の4湖のブラックバスの 漁業権免許が特定外来生物法 施行後初めて更新される |
芦ノ湖のブラックバス漁業権免許についてだが、神奈川県の資料には漁業法が制定翌年の1951年に芦之湖漁協に漁業権が与えられたのが最も古い記録として残っている。
しかし、芦之湖漁協の見解は異なる。芦ノ湖の漁業権は江戸時代から受け継がれ、廃藩置県に伴い明治政府からも漁業権が与えられた記録が残っているとのこと。
また芦ノ湖は県ではなく国の管轄(国策)として漁業に取り組んでいた時期がある。ブラックバスが移植された大正時代は現在のように魚種単位の免許ではなかったため、ブラックバスが移植されたとき(1925年)から当時の漁業権にブラックバスも組み込まれていると漁協では認識している。
<注意>ブラックバス釣りの遊漁料について
芦ノ湖・河口湖・山中湖・西湖の4湖を除き、ブラックバスは漁業権魚種でないためバスアングラーからは遊漁料を徴収できない。
「環境整備協力金」や「水面利用料」として釣り料金を徴収している漁協が多く、遊漁料に準ずる漁協の収入源となっているため文中は各種協力金も含めて「遊漁料」と表記しています。
(了)
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