平久美子先生を招きネオニコチノイドに関するシンポジウムを開催【タカミヤ・マリバー環境保護財団】

ニュース
タカミヤ・マリバーの環境保護シンポジウムの様子
シンポジウムには会場一杯の約200人が参加した

11月8日(土)、北九州市商工貿易会館にて「第28回タカミヤ・マリバー環境保護シンポジウム」が開催された。マリバー財団は、近年世界的にも大きな問題となっている農薬、特に海外では使用禁止や制限が設けられているネオニコチノイド系農薬(通称・ネオニコ農薬)に焦点を絞って一昨年の山室真澄氏、昨年の宇根豊氏を招きシンポジウムを開催している。

本年は、麻酔科医・臨床環境医であり、ネオニコチノイド研究会代表の平久美子氏を講師としてお呼びし、「ネオニコチノイドの生物に与える影響 赤とんぼ、淡水魚類が減少していることとの関係は?」と題して講演を行った。当日は、毎日新聞や経済団体、多くの環境ボランティア団体の方々など、会場一杯の参加者約200人が集まり、関心の高さが伺われた。

シンポジウム開催に先立ち、マリバー財団の髙宮理事長の挨拶、北九州市の大庭副市長の挨拶が行われた。

タカミヤ・マリバーの髙宮理事長
挨拶するマリバー財団の髙宮理事長
北九州市の大庭副市長
北九州市の大庭副市長

その後、マリバー財団が今年8月に黒土始基金の「黒土始賞」の受賞した旨の報告がなされ、授賞式の際に放映された財団設立から現在までの活動内容の動画が放映された。引き続き、地域の環境保全活動を続ける団体を助成する、マリバー財団核となる事業、「マリバーエイド」の助成先が発表され、代表として二団体に目録が贈呈された。

休憩を挟んで、本日の講師である平久美子先生より講演が行われた。

使用するとしても最小限の使用が求められる

タカミヤ・マリバーの環境保護シンポジウムの様子
詳細な資料を用いてネオニコとは何なのか、どういった問題があるのかが説明された

平久美子先生は、2001年に環境農薬中毒研究を開始、環境ネオニコチノイド中毒の国際共同研究に携わり、関連する論文も多数発表されている。

今回、詳細な資料を使用しながら、「ネオニコチノイドとは何か」「生態系への影響」「人体・健康への影響」「次世代への影響と今後の対策」について話をされた。

ネオニコ農薬は90年代から使用が急増し、現在も全国各地で殺虫・防虫の一環として広く使用されている。ただ、浸透性農薬且つ分解されても殺虫効果を発揮するため、節足動物や水生昆虫、ひいては魚類にも大きな影響を及ぼしていると言われている。

近年では、ネオニコ農薬使用に伴い赤とんぼが激減した事も報告され、(公財)日本釣振興会の河川・湖沼の水質調査、魚類生息調査においても、23―24年の年間280カ所の調査の内、98%でネオニコ農薬が検出され、殆どの場所で魚類や甲殻類などが大幅に減少している事が報告されている。

また、山室真澄氏の宍道湖における調査によるうなぎやワカサギの激減を元に、安価な農薬が手軽に使用されることにより、生態系ピラミッドの最下層である植物性・動物性プランクトンが影響を受け、ひいては海の生態系へも看過できない影響を及ぼしている可能性が否定できないと指摘されていた。

加えて、群馬県における山林へのネオニコ散布により、近隣住民が胸痛や動悸を訴え、心電図でも明らかな異常が認められた事例など、様々なデータを示しながら人体への影響を指摘した。同時に、現在の農薬安全基準では直接的な人体への影響だけでなく、データに基づき次世代の子ども達への影響(子ども成長段階における発達障害)についても強く警鐘を鳴らされた。

更に、海外とのネオニコ農薬濃度検出比較においては、残留基準が海外に比べてはるかに低い日本では、海外で検出されるよりも遥かに高濃度の値が検出されている事も報告された。

結論として、ネオニコ系農薬は生態系に有害、長期間人体に保持され、人にも有害である可能性が示唆され、使用するとしても最小限の使用が求められるとのことであった。

(公財)タカミヤ・マリバー環境財団や(公財)日本釣振興会では、3年前から環境省や農水省に対して、ネオニコ農薬の早期の使用規制を求めており、今後も国に働きかけていくとの方針を示している。

シンポジウムに参加された方からも、「ネオニコチノイド農薬の怖さを初めて知った」「農薬の人体に対する影響について国は真剣に考えるべきだ」「これからは農薬について関心を持ち、野菜などを買うときは気をつけたい」などの声が上がっていた。

全国の環境団体からも、ネオニコ農薬の使用中止を求める要望が数多く上がっており、私達国民がこの問題に強い関心を持ち、無農薬や減農薬を応援し、豊かな生態系を守ることに力を注ぐべきであろう。

関連記事 → 水田のネオニコ排除が釣り場環境を再生する。水道水の安全性にも関わる問題を山室真澄教授にインタビュー | 釣具新聞 | 釣具業界の業界紙 | 公式ニュースサイト

関連記事 → 30年以上にわたる環境保護活動が評価。タカミヤ・マリバー環境保護財団が黒土始基金「第3回黒土始賞」受賞 | 釣具新聞 | 釣具業界の業界紙 | 公式ニュースサイト

関連記事

針が装着済みで超カンタン!ジグヘッド付きワーム「ジグ単」。カラーバリエーションも豊富

前日の仕込み不要!釣り場で仕上げても釣り込める、両トロロ専用麩「美緑(みりょく)」【マルキユー】

【ダイワ】「オンラインエギングパーティー2020」今年はWEBフォトコンテスト開催!

【がまかつ】「ラグゼ LEDヘッド&ネックライト」3モデル

【ハヤブサ】「スクイッドジャンキーライブリーダート」生感をとことん追求した次世代のエギ

海域栽培漁業推進協議会全国連絡会議でLOVE BLUEの放流について説明と協力依頼

アユルアーは救世主?衰退する漁協、若者を呼び込むことは出来る?【奧山文弥・理想的な釣り環境】

人気のイカメタルゲームをさらに面白くする3つのコンセプト、8モデルの専用ロッド「エメラルダス MX イカメタル」