今年もタコ釣りのシーズンがやってきたが、タコ釣りには様々なルールがあるので注意が必要だ。密漁になってしまう場合もあるので、それぞれの地域でルールを確認した上でタコ釣りを楽しもう。
タコ釣りのメッカである、兵庫県明石市沿岸では「タコ釣りのルール」が設けられている。日本釣振興会、全日本釣り団体協議会、大阪釣具協同組合、兵庫釣りインストラクター連絡機構、大阪府釣り団体協議会など、釣り人側の多くの団体もこのルールに賛同しており、ルールを守って釣りをする事を呼び掛けている。
そもそも、釣り人(遊漁者)は共同漁業権区域内でタコを釣る事は出来ない。共同漁業権区域内でタコを釣ると「密漁」となり100万円以下の罰金等が科せられる可能性もある。
しかし、明石市沿岸では「タコ釣りのルール」を守る人に限って、決められた時期とルールの中でタコ釣りをする事が認められている。これは全国的にも珍しい事例だ。
明石市沿岸の「タコ釣りのルール」は2016年から行政、漁業者、遊漁船が釣り人側の団体等とも協力して策定し、タコの資源管理を行うために出来たルールだ。
明石市のタコの漁獲量はグラフの通り、2015年までは1000トンを超えていたが、そこから縮小が続き、今では100トン台まで下がっている。ピーク時の10分の1近くまで漁獲量は減少した。当然、タコも釣れていない。今年(2024年)は回復の兆しはみられるものの、継続した資源管理が必要なのは明らかだ。
マダコを採捕出来る期間が予告通り短縮
2024年の明石市沿岸のタコ釣りルールで、変更となったのはマダコを採捕出来る期間だ。
今年の変更としては、マダコを採捕出来る期間が短縮されている。昨年までは海の日(7月の第3月曜日)と12月1日から5月31日までとなっていたが、近年、大きく減少したマダコの一層の資源保護のため今年より12月1日から4月30日までと1カ月間短縮されたほか、海の日(7月の第3月曜日)も削除された。
100g以下の採捕禁止や、タコ釣りの制限として1人あたり10パイまでと使用するタコエギは2つまで、稚魚育成場内は漁業者も含め水産動植物の採捕は一切不可など、他のルールは前年同様となっている。
なお、例年通り、明石市漁連の会員漁協、播磨町、東播磨、高砂漁協に所属する遊漁船業者は、より厳格な取決めを設けているため除かれている。
タコエギ等に「生エサをつけるのは禁止」
さらに、明石市漁連遊漁船業代表者部会に属する遊漁船では、釣り方についてタコエギ等に生エサを付ける事が禁止となった。
理由としては漁業者からの要望が大きな要因となっている。具体的には生エサが付いたタコエギが網に絡まり、後日引き揚げた場合に生エサが腐って処理に困る事が多いそうだ。そのほか小型タコの乱獲を防ぐため等が理由で決定された。
ほか、タコエギは2個まで。針は半傘(180度を超えない)は前年通りだ。明石市漁連遊漁船部会が定めている自主ルールではあるが、海洋ゴミの削減、タコ資源保護のために釣り人もルールを守って釣りをしよう。
【注意】鹿ノ瀬で許可なくタコ等を釣る事は密漁!
また、鹿ノ瀬(しかのせ)と呼ばれる明石市から南西20㎞にある播磨灘最大の瀬は、様々な魚種の屈指の釣り場となっているが、当然共同漁業権区域となっているため、遊漁によるタコ釣りはできない。
明石市漁連遊漁船業代表者部会に属する遊漁船は資源管理や漁場監視の取組みを行っているため、一定のルールの下、鹿ノ瀬でタコ釣りを行うことが受忍されている。
しかし、プレジャーボート等がこの鹿ノ瀬に入って釣りをする姿が数多く目撃されている。これは漁業権侵害であり、罰金が科せられる事がある。鹿ノ瀬に間違って入らないよう注意が必要だ。釣りをしていた場合、「知らなかった」では済まされない。
タコマイレージ。新ステッカー登場!? 資源保護に協力しよう!
2022年に開始された「タコマイレージ」については、2月にインテックス大阪で行われた「フィッシングショーOSAKA2024」の兵庫県のブースで「タコマイレージを知っているか?」といったアンケートも取られていた。その結果によるとタコマイレージは半数以上が知っており、タコマイレージに参加したい人は90%以上となっていた。認知度も高く、評判も良い事が伺える。
「タコマイレージ」は、遊漁船の利用者が釣ったマダコ(100g超)を放流用に船に提供すると、その数に応じてポイントがもらえる。
・100g超のマダコを提供 → 1パイにつき1ポイント
・500g超のマダコを提供 → 1パイにつき5ポイント
・1㎏超のマダコを提供 → 1パイにつき10ポイント。
ポイントが貯まると明石市漁連遊漁船業部会のオリジナルステッカーが進呈される。ステッカーはポイントに応じて、ゴールド、シルバー、ブロンズがある。
2023年(令和5年)の実績では、タコマイレージの協力者はのべ3997人(前年2655人)、放流マダコは1万2590ハイ(同7513ハイ)となっており、前年から大幅増となった。今年についても、マイレージが貯まった人にはオリジナルステッカーが進呈される他、プレゼントの交換など様々なサービスが拡大中だ。プレンゼントは釣具メーカーの協力による協賛品が活用されており、協力メーカーへの感謝も述べられた。また新デザインのステッカーが今年導入予定だそうだ。
近年は減少を続けてきたタコの漁獲量だが明石市漁連遊漁船部会の松本会長も「ここ数年、我々がこういった取り組みを行ってきた事で、今年はタコが少しずつ増えていると感じています。タコは昨年より広く分布しており、釣果も良くなっています。こういった現実がありますから、我々も資源保護の活動を続けていきますので、遊漁者の方にも引き続きご協力をお願い致します」と話していた。
釣り人側もルールをしっかりと守り、行政、漁業者、遊漁船業者と一緒にタコの資源管理に協力していく事が求められている。
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