水田の減農薬が自然環境を守る。淡水魚の減少、原因は農薬?日本釣振興会の髙宮会長が元「農と自然の研究所」の宇根氏と面談

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4月5日(金)、公益財団法人日本釣振興会の髙宮会長は、農学博士で減農薬運動を進めた元NPO法人「農と自然の研究所」の代表理事・宇根豊氏と面談を行った。髙宮会長からは日本釣振興会のネオニコチノイド系農薬に関する取り組みが伝えられ、宇根氏からも減農薬についてや、水田での農薬使用について、様々な意見が述べられた。

日本釣振興会の髙宮会長と宇根豊氏
日本釣振興会の髙宮会長(右)は宇根豊氏(左)と面談。同振興会の取り組みなども説明した

今回面談した宇根豊氏は、福岡県生物多様性策定委員、東京農業大学客員教授、元福岡県庁農業改良普及員。農家の生まれで、1978年より、農薬が水田周辺の自然環境や生態系に影響を及ぼすという事から、減農薬稲作の提言活動を始めた。減農薬や田んぼの生物等に関する著書50冊以上を出版している。

宇根豊氏が著作した「農はいのちをつなぐ」
宇根豊氏が著作した「農はいのちをつなぐ」。他にも著書は多数

面談には、公益財団法人日本釣振興会の髙宮俊諦会長及び、九州地区支部の西森誠氏も参加した。

まず髙宮会長より、現在釣り界が抱えている大きな問題として、淡水魚の急激な減少について説明を行った。

15年ぐらい前より、身近で釣れていたフナやハヤなどが大幅に減少しており、所によっては絶滅寸前まで追い込まれている。その要因は、河川改修や水質汚濁等もあるが、大きな要因として、全国で広く散布されている農薬(特にネオニコチノイド系農薬)を日本釣振興会としても懸念している事を伝えた。

現在、同振興会内に「淡水魚減少対策プロジェクト」を設置し、学者等も含め約10人のメンバーで月に1回会議を行っている。農水省をはじめ関係省庁へ農薬使用に関する要望書を出すほか、YouTube動画の作成、全国の河川水質調査や魚類生息調査などを行い、この問題の解決に向けて取り組んでいる事について話をした。

農業は自然を支える産業。支援金で生態系の保全を提案

宇根豊氏からは、下記のような話があった。

以前、福岡県が農業を実施しながら生物調査を行い、環境を守る取り組み(補助金)を行っていたが、3年間で終了してしまった。その取り組みを農水省が引き継いだが、結局うまくいかなかった。現在でも、その取り組みをうまく活用して、地域で生態系を守りながら農業が行われている場所が、豊岡市(コウノトリ)や佐渡市(トキ)、そして滋賀県である。

EUを中心に、ヨーロッパでは環境を守るために農業に対して支援を行う事は当たり前となっており、特別な生物が生息できる環境を構築すれば支援金が支給される仕組みになっている。農業が自然を支える産業の1つであることが広く認識されている。日本でもその認識を広めるとともに、支援金などの仕組みを取り入れ、生態系全体を保全すべきだと考えている。

また、お米は日本人の主食であるが、農家の作業負荷を考えると、5㎏2000円前後を、3000~4000円に値上げすれば、農薬は一切使用する必要性がなくなる。

国からの支援金と併せて、誰がどのくらい負担すればよいのか、新たな取り組みも含め、複合的な対策を考えていく時期に来ているのではないか。

農薬の大量散布により、生き物の多くが減少した事は、ほとんどの百姓は知っている。ただ、生産性を上げる事だけを重視してしまったため、それらの事に目をつぶってきた結果が現在の状況だ。農水省もその事は知っている。

減農薬・無農薬でも米づくりは出来る?

収量を少し落とすが、密集して苗を植えずに稲に配慮して米づくりを行えば、全く無農薬で行うことができる技術は確立している。苗床で農薬(浸透性農薬)に浸したりする必要も全くない。国や農水省が本気になって無農薬農業を進めていないだけだ。

水田全体に農薬を撒いて害虫防除をすることは、害虫だけではなく、水田に生息している益虫や、名もなきただ虫(田んぼを豊かにしている虫)まで全て殺傷してしまう。これは農業を行うものとしていかがなものか、農家の怠慢だと考えている。同時に、農協も環境保全に対する取り組みに力を入れていない。CSRの一環として、生物調査部局もあるが力が弱い。

また、最も悪いのは、ヘリコプターやドローン等で無制限・広範囲に農薬を散布する事。害虫や益虫だけでなく、周辺の生物や人体にも多大な影響を及ぼしている。

当方で行っている減農薬農業では、水田全体の害虫発生を虫見板によって確認し、大発生した場所のみ、必要最低限の農薬を散布している。ただ、稲を過密に植えなければ、害虫がそんなに発生する事はない。

虫見板
田んぼで害虫や益虫を調べるための「虫見板」。片手に虫見板を持って、もう一方の手でイネをすばやく叩き、板の上に虫を落として観察する。これを活用することで、農薬の散布が4分の1に減った事例もある

田んぼは生き物の命と命をつなぐ場所

農家は、育てている作物だけでなく、その周りで暮らしている様々な生き物にもっと気を配るべきだ。また、水辺に近い釣り人は、魚や生き物と非常に密接な関係にあるので、対象魚だけではなく、周りの環境にも目を配れるようになってもらいたい。

水田では、環境保護の名の下、環境省がメタンガス発生を抑えるために早期の中干し(田んぼの水を抜いて、ひびが入るまで乾かす事)を進めている。オタマジャクシなどの水生生物に配慮して、時期を調整して中干しを行えば、多くの生き物を救うことができる。

農と自然の研究所が制作した下敷き
農と自然の研究所が制作した下敷き。ごはん一杯を食べる事が、オタマジャクシ35匹を育てるという論理をイラストで紹介

田んぼは、元来生き物の命と命をつなぐ場所だった。しかし、戦後の農業政策は目的が大幅に変わり、生産効果を上げる事が最優先される事となった。

環境省には環境派と生産派があり、事務次官が環境派だった頃は環境に配慮した政策が取られたが、徐々に生産派の勢いが増し、環境への配慮が薄くなってきた。近年は環境派が少しずつ盛り返している。

徳之島に視察に行った際、ほとんど水田が消失しサトウキビ畑になっていた。結果、多くのトンボやカエルなどが減少した。水田は様々な生き物が暮らす場所でもあり、現在、地域で水田を復活させる活動が徐々に広まっている。

宇根氏は以上の意見を述べた上で、以下の様に結論付けた。

田畑や水田は様々な生物に支えられている!

現在の農業は、あまりにも生産性を高めることに向かいすぎて、田畑や水田が様々な生物に支えられている事を忘れている。現在の収量を2、3割落とせば、農薬を使用せず、完全に無農薬でお米を作る技術は確立している。

今後は、農業やその周辺で育まれる生き物達が生態系サービスの一部であることを国が認めるべきだ。そして、環境や生物を守るために補助を行うとともに、国民にもその事を理解した上で一部を負担をしてもらい、環境を守っていく取り組みを進めていくべきだ。

また、最後に宇根氏は、以下のコメントを述べ、面談は終了となった。

「日本釣振興会さんが行っている、農薬問題をはじめとする環境に対する様々な取り組みは非常に心強く、これからも協力を行っていきたい。また、自身の資料は全て提供できるし、自由に使ってもらって構わない。自分が全国で元気に活動をしていた20年前に髙宮さんとお会いしていれば、恐らく農業政策もかなり変えられたのではないかと思う。ただ、今からでも遅くないので、ともに頑張りましょう」。

◆ネオニコチノイド系農薬特集のページは、コチラ

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