「釣具業界の法律相談所」は、釣具業界でも起こる可能性のあるトラブルについて、弁護士の先生に聞いて見解や対処方を紹介するコーナーです。
今回は、保護者同伴の釣りイベントで子供が熱中症になってしまった場合、主催者側に責任はあるのかを弁護士の先生に聞きました。
イベント中、子供が熱中症になり救急車で搬送。主催者は声掛けなど対策を行っていたが…
弊社は釣り具店を10店舗経営している会社です。未来の釣り人を増やしたいという趣旨で、弊社では以前から子供や家族を対象としたイベントを開催しています。
内容は釣り場で実際に釣りを体験してもらう「釣り教室」です。今回のトラブルは、そのイベントに参加していた子供が熱中症となり病院に搬送され、後日両親から訴えられる事態になった事です。
近年は地球温暖化の影響か、当店のあるエリアでも猛暑日が増えています。弊社は毎年5月から8月にかけて子供や家族を対象とした釣り教室を行っています。
釣り教室は朝7時から始まり、昼前には終了します。場所は海釣り公園の堤防でサビキ釣りをしてもらうのですが、事故のあった当日は朝から30度を超す真夏日となっていました。
参加者には現地に集合後、簡単な釣り方の説明を行い、釣り場に移動して実際に釣りをしてもらいます。スタッフ1名が2、3家族を担当し、それぞれ釣り方等を教えながら釣りをしてもらいます。
当日、風はあるものの気温は高い状態が続き、日差しも次第に強くなり、昼前には35度を超える猛暑日となってしまいました。子供はライフジャケットを着用してもらっている事もあり、通常の夏用の服装より暑い状態ではあったと思います。
スタッフもイベント中には参加者に水分補給を呼びかけた他、「しんどくなったら日陰で休んでください」と声を掛けて回るなど、熱中症対策は行っていました。
しかし、家族で参加していた子供の1人の容態が急変し、突然ぐったりして倒れてしまいました。すぐに施設管理者に連絡し、救護室に搬送しましたが、容態が改善しないため救急車を呼ぶ事態となってしまいました。
今回のイベントの参加申込書には、注意事項として「お子様の危険管理は保護者でも十分に気を付けるようお願いします」、「熱中症対策として、帽子の着用や涼しい服を着用し、飲料は十分に持ってきてください」という項目は設けてありました。参加者全員がこれを読まれた上、申込書を提出して頂き、参加してもらっています。
しかし、熱中症になった子供の両親は「猛暑日になっているのだからイベントは途中で中止すべきだった。子供が体調不良になったのは、イベントを無理に継続したからだ」として、イベントの主催者である当社に対して慰謝料等を求めて訴えを起こしてこられました。
そこで弁護士の先生に質問です。
弊社も参加者が熱中症にならないよう、注意喚起なども行っていたのですが、弊社に責任はあるのでしょうか。
また、こういう事態を避けるため、イベントに参加するための申込書等に、どのような文言を入れておくべきなのか、教えて頂けると助かります。
(※質問は実際の企業等とは全く関係がありません)