河川環境と原種イワナを守り続けてきた長野県・雑魚川(ざこがわ)の漁場管理が釣り人、漁業関係者、研究者の三者から注目されている。
この流域にイワナはかつて一度も放流されていないのだが、我が国有数の渓流魚の生息密度を誇っているからだ。しかも生息するイワナは長年守られてきた貴重な原種で、クオリティも高い。
その密度は1㎡あたり0.8尾弱。年によってバラつきはあるが、グラフを見ても一目瞭然で長野県下の他の河川と比較しても高密度だ。当然ながら魚と出会う回数が増え、釣り人の満足度も高く、遠方から訪れる人も多い。
今回は内水面漁場の活性化に結び付く調査研究に取り組む長野県水産試験場と、魅力的な漁場管理に努める志賀高原漁協のスタッフに話を伺った。
種川(たねがわ)からの「しみだし効果」、本格的調査を開始
雑魚川に生息する魚種はほぼイワナのみだ。これほどまでイワナの密度が高いのは支流がすべて禁漁区に設定されているからだと推測されている。
そのような支流を「種川」と呼び、禁漁区で生まれた稚魚が入漁区(本流)へ移動する「しみだし効果」が期待されている。
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