釣りエサのスペシャリスト・長岡寛さんの連載「お魚さんッ、私のエサに食いついて!」です。釣りエサに関する事以外にも魚の生態や環境など様々な内容を紹介します。
今回は、ルアーの色彩と釣果の関係について解説して頂きました。
さて、2回ほど前に掲載された内容は金魚が青色を識別することが出来るということと、いくつかの魚種について色彩を判別することが出来るということをお話しさせてもらいました。
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それに次ぐ前回は、タチウオの引き縄漁において色違いの疑似餌を使って釣獲テストを実施したところ、多くの漁業者の「赤色が良い」という予想に反して、どのカラーの疑似餌でも釣獲率に違いが無かったということもお伝えいたしました。
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しかしながら冷静に考えると、一方ではお魚さんが色を識別していると言っていながら、もう一方ではどのカラーの疑似餌を使っても釣獲率に違いはなかったと言うお話になっているので、何だか矛盾しているのではないかという疑問が生じるかもしれません。
今回は、このことについて身近な釣り場で起きていることを例として、少し掘り下げたお話をさせて頂きます。
スプーンのカラーを変えるとアタリが増える?
手軽に楽しめるトラウトの管理釣り場が各所にあり、休日ともなれば大変な賑わいを見せています。
ルアー専用の釣り場であれば、イクラなどの生鮮釣り餌を使用することは出来ませんから、全てが味も匂いもないルアーだけを使用します。
そうした制約(ルール)の中で釣果を左右する要因はルアーの大きさと形、そして動きとカラーということになります。
ルアーには色々な種類があります。中でもとりあえず手軽に使えてその割に良く釣れるルアーはスプーンだと私は思っていますが、同じスプーンを投げ続けているとトラウトの反応は次第に少なくなり、やがて何度投入してもアタリが出なくなってしまいます。
そうした時、使用しているスプーンのカラーを変えるとすぐにアタリが出ることがよくあります。これはトラウトのエリアフィッシングファンの多くの方々が同様の経験をされていることでしょう。
ここで横道にそれますが、アタリが無くなったら形状の異なるルアーに変えてキャストすることも間違いではないでしょう。
しかしながら、多少なりともそれまで使用していたスプーンにトラウトの反応が出ていたとするなら、いきなり形状が大きく異なるルアーに変更するよりも、同じ形状のスプーンを使い続けた方がその時の状況に合っていると考えられます。
話を戻して、スプーンのカラーを変えただけで再びトラウトのアタリが出るということは、トラウトは明らかにルアーの色彩を判別し学習しているということが分かります。
ところが、カラーチェンジをしたから、その後そのカラーでずっと好釣果が続くかというと決してそうではありません。やはり同じカラーのスプーンを投げ続けているとアタリは少なくなってしまいます。
そこで、さらにカラーチェンジを行うと、再びアタリをもらうことになります。釣り場で周囲を見渡すなら、好釣果を得ているアングラーの多くは、常にこれ(カラーチェンジ)を繰り返しているのはそのことを熟知しているためでしょう。
結局、スプーンについては、この釣り場ではこのカラーが絶対というものは無いわけで、それがショップの店頭に様々なカラーのスプーンやルアーが陳列されている理由の1つと考えてよさそうです。