第1回「フナに始まりフナに終わる?」
釣りのことわざに「フナに始まってフナに終わる」ということわざがあります。
私が思うに、昔は都会にも野池や釣り池がたくさんあって、フナ(ヘラブナ、マブナ、アイベラ)釣りがもっとも身近で手軽な釣りでした。
なかでもヘラ釣りは特に奥が深くてのめり込む人が多いものです。
釣座に座って、竿を片時も離さず、じっとウキを見つめ、食いアタリを見極めて「ハッシ」とアワせる。
そして竿に魚が乗った感触と引きがたまらない。
この瞬間がなにものにも代えがたいのです。
フナ釣りの基本的なものは昔も今も変わりません。
しかし、釣り竿は和竿からグラス竿、カーボン竿に進化しました。
でもヘラ釣りの和竿は独特の味わいがあるので、今も愛用している人もいます。
フナ釣りのエサは、昔はうどんにサナギ粉をまぶして釣るのが普通で、マブナはミミズや赤虫をエサにして釣りました。
そのうどんは、今はワラビウドンに変わり、マッシュポテト、麩、グルテンなどが主なエサとなりました。
ヘラ釣りのフィールドは野池からダム湖へ
釣り場となる池は昔は大阪市内のあちこちにありました。
しかし、時代の流れで次々と埋め立てられ、野池はほとんど無くなり、残っているのはほとんど立ち入り・釣り禁止の野池です。
今、野ベラ釣りができるのは大阪市内では淀川のワンドぐらいではないでしょうか。
野ベラ釣りは野池からダム湖へと変わったといっても過言ではないでしょう。
ダム湖は大場所だけに尺ベラも多く、さらに大きな40~50㎝の巨ベラがいるのも魅力で、とくに春の乗っ込み時は巨ベラを狙ってダム湖通いするヘラファンが多いものです。
手近な野池はなくなっても、ヘラの釣り池は数少なくなったもののまだまだ健在で、ヘラファンが通っています。
釣り池は足場がよく安全なので高齢になっても楽しめます。
「フナに始まってフナに終わる」は今の時代にそぐわない?
しかし、都会では手近な野池などがないので、釣りを始めるキッカケは、ルアー釣りか波止でのサビキ釣りが多いと思います。
近年、波止ではファミリーフィッシングが多く見られ、子供たちが親と一緒にサビキ釣りでアジやイワシを釣っています。
そのような現場を見ると「フナに始まってフナに終わる」はそぐわない?ように思うのは時代の流れでしょうか。