「釣具業界の法律相談所」は、釣具業界でも起こる可能性のあるトラブルについて、弁護士の先生に聞いて見解や対処方法を紹介するコーナーです。
今回は、釣り初心者の新入社員と口論になり、「釣りが下手くそなくせに…」と怒鳴ってしまった場合、パワハラにあたるのかについて弁護士の先生に聞きました。
「釣りがヘタクソなくせに、分かったような事を言うな!」
私は釣り具メーカーを経営しています。先日、新入社員からパワハラがあったとして訴えられてしまいました。
当社は私を含め社員3名の会社です。私は子供の頃から40年以上釣りをしており、様々なメディアにも出てきた事から、釣り人の間でも一定の知名度があります。
主に船釣り等の商品を作っているのですが、私の長年の経験によって、よく釣れる釣り具、ちょっとした工夫で快適に釣りが出来る道具等を作り、ヒット商品もいくつか出て何とか経営しています。当然ですが、私は釣りの腕前には絶対の自信があります。
当社も将来を考えると若い人の力が欲しいという事で、今年から新入社員として20代のA君に働いてもらう事となりました。
A君は釣りの経験はほとんどなく、特に釣りが好きでもないのですが、最近流行りのSNSやインターネットに詳しいため、当社で新しい戦力になると期待しておりました。
A君が入社し半年ほどが過ぎました。釣りには相変わらず興味がないようですが、当社のSNSの立ち上げやウェブサイトのメンテナンスにやりがいを持って取り組んでいるように見えました。
ただし、言いたい事は遠慮せずに言ってくるタイプで、私を含めベテラン社員とも、たまに意見が食い違い議論となる事もあったのですが、世代も違うため最終的には私が丸く収めていました。
しかし、ある商品開発会議で、私がデザインした商品についてA君に意見を求めたところ「正直に言って形がダサすぎます。これでは魚もたいして釣れないと思います」と言われました。
私は頭にきて「釣りの経験もろくにないくせに黙っていろ!釣りがヘタクソなお前に、このデザインの良さの何が分かるんだ?」と怒鳴ってしまいました。
怒鳴られた事にショックを受けたA君は黙ってしまい、その後会議で一切発言をしなくなりました。私も怒鳴ってしまった事を反省し、A君に話しかけるなどしましたが、返事はありませんでした。
しばらく経った後、A君が私のところにやってきて、「以前の会議で私を怒鳴った事はパワハラであり、精神的な苦痛を受けた。そのため民事訴訟を起こす」と言ってきました。
私としては、社員の指導の範囲だと思っています。怒鳴った事は謝るが、A君の発言の内容にも問題があり、商品開発のための前向きな発言になっていない、等の話をしましたが、訴訟撤回には至りませんでした。
そこで弁護士の先生にお聞きしたいのですが、私が会議で述べた発言や、新入社員や釣りの経験が浅いスタッフに「釣りがヘタクソなくせに、分かったような事を言うな」といった内容の発言はパワハラになるのでしょうか。
また、パワハラと認定された場合、どういった内容の補償等が必要となるのでしょうか。
※質問は全て架空の質問です。実際の企業等とは一切関係がありません