今回は形状記憶合金を使った釣具等を製造販売している(株)吉見製作所(愛知県大府市本社・坂一宏社長)が展開しているブランド「ベイフィール」について紹介する。従来のYOSHIMIブランドとは全く異なる、新しい世界観を持ったブランドに育てたいという。担当の石川智史氏に話を伺った。
「Baefeel」のBae(ベイ)は欧米の若い人がSNS等でよく使用する言葉で「Before anyone else(誰よりも先に)」の頭文字で作られた言葉だ。意味としては、「大好きなものや人」をあらわす際に使われている。
「Baefeel」はBaeにfeelを付けた造語だ。「誰よりも先に感じる」という意味で、時代の流れをいち早く感じ、よりよい商品を提供していきたいという思いが込められている。そして「スマートでゲーム性を高めたこだわりの強い製品を提供する」というコンセプトだ。
ベイフィールを立ち上げた経緯を石川氏は以下のように語る。
「当社はYOSHIMIのブランド名で25年以上にわたり、天秤など釣具を製造販売してきました。しかし、特にこの10年は極端に釣りが変わってきたと感じます。釣り自体もルアー中心になり、イメージもスタイリッシュなものに変化してきました。
こういった変化に合わせて、若い人や新しい層の方達の目に留まるようなブランド展開が必要だと強く感じていました。ただ、新ブランドを立ち上げると言っても、簡単ではありませんでした。どういった方向性で行くのか。どうやって説得力のある商品を出していくのか。時間を掛けて検討を行ってきました」。
水中の様子がリアルに分かる!「チタンリグシステム・イカメタルリグ」
ベイフィールで最初に発売した商品は、「チタンリグシステム・イカメタルリグ」だ。若い人にも人気のイカメタル用の仕掛け(リーダー)だ。タイプ1とタイプ2の2種類がある。このリーダー部分にはフロロカーボンやナイロンではなく、直線記憶処理されたチタン合金(形状記憶合金)が使われている。吉見製作所が最も得意とする形状記憶合金の技術が活かされた商品だ。
まず、リーダーの細さが特徴的だ。リーダーの太さは0.2㎜と0.25㎜の2種類。ナイロンやフロロで言えば2号前後の細さで、通常のフロロカーボンを使ったリーダーの半分以下の細さとなる。
さらにチタン合金のため超高感度で水中の様子が手元に伝わる。まさに金属的な感度で、このリグを使うと今までアタリが無かったという人でも、アタリがあった事が分かる場合もあるという。さらにイカが寄ってきたのが分かるほど、水中の様子がリアルに分かるようになる。
こういったテストを繰り返し、フロロ等が使われている通常のリーダーとチタン合金(形状記憶合金)を使ったリーダーで、感度の劇的な差が特に感じられる事もあり、イカメタルの仕掛けから発売する事になったそうだ。